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アニメ批評その615 ひげを剃る。そして女子高生を拾う。

それなりに人気のある作品だとは知ってたのですが、何となく引っかかる所があって視聴を避けておりました。
以下はechoさんのレビューなのですが、何となく私が抱いていたイメージ通りな作品だった様ですw

評価:★★(ひねくれたおじさん向きじゃないかも)

概要

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。は、しめさばによる日本のライトノベル原作のテレビアニメ。

20代のサラリーマンと、家出した女子高生が出会い、共同生活を送るさまを描く。

公式略称は「ひげひろ」。

アニメは2021年4月からAT-Xほかにて放送された。

原作は2021年6月時点でシリーズ累計発行部数は200万部を突破している。

あらすじ

IT企業に勤めるサラリーマン・吉田は、上司の後藤愛依梨にフラれた夜、荻原沙優という家出少女と出会う。

沙優は性交と引き換えに宿を提供するよう吉田に要求するが、吉田はこれを拒否した上で、働くことを条件に彼女を居候させる。

春アニメで何かと物議を醸した話題作です。
家出少女と優しくて冴えないサラリーマンとの共同生活を描いた「人間ドラマ」「純愛もの」と言って良い作品だと思います。
最初に言っておきますが、私は本作が犯罪すれすれのグレーな行動をしているから悪いなどと言うつもりはありません。
むしろアニメや映画などは、普段経験できない世界を描いて体験できるからこそ面白いと思っているので、そういったものは描くべきだと思っています。
ただし、その一線を越えるキャラクターの境遇や心理描写は丁寧に描く必要があると思っています。
そういったところを丁寧に描く事でキャラクターに命が吹き込まれ、ストーリーにリアリティを持たせる事が出来ると思うのです。
前置きが長くなりましたが、今作で私が気になったところを書いていきます。

主人公の一人、女子高生の沙優です。
沙優は可愛くておっぱいが大きく、気立てが良くて気遣いが出来て頭も良くて料理が上手、いじめられても毅然としていて周りに流されない。
いかにも我々が好きそうな感じの理想的な女の子です。
家出前は男子に告白されても、全て断ってしまう様な少し潔癖なところも感じさせます。
ところが事件が起きて家出した後は、流されるように援交しながら家出を続けています。
ちょっと本来のキャラクター設定とは違う様に感じます。
心理的にどんな変化があったのでしょうか?
その辺り作中では後悔しているとは言っているものの、心理が読み取れるほどの描写はありません。
ちょっとした事で良いんです、元々性に奔放な子って設定でも良いですし、流されやすい性格だったでも良いです、義理の父親にイタズラされて母親に助けを求めたら母親から疎まれるようになっただとか、友達を救えず自分に罰を与えたいと自虐的になっているだとか、それなりに説得力のある描写が無いと、どうしても取って付けたようなエピソードになってしまいます。
援交が取ってつけたようなエピソードでは困るんですけどね。

もう一人の主人公、普通のサラリーマンの吉田さんです。
吉田さんはつい拾ってしまった沙優に援交を持ちかけられながらそれを断り続け、逆に説教して沙優を立ち直らせることまで誓います。
何度か沙優の誘惑を拒絶しながら、犯罪だと分かった上で沙優と同居を続けていきます。
聖人すぎます。
単なる正義感、あるいはお人好しだとしても度が過ぎる気がします。
父性欲を満たしたかったのか?それとも何か過去にあった後悔を取り戻したかったでしょうか?
作中で吉田さんはこの事に一言だけ言及しています
「沙優が可愛かったから」
なんか率直で良い人風にまとめているけど、それって援交しているおじさんと動機が一緒じゃ無いですかね?
やはり、吉田さんのキャラクターを動機付けるのに説得力が足りないと思います。
ちょっとした事でも良いんです。
学生の頃教師を目指していて挫折したでも、学生時代にいじめられていた女の子を助けられずに後悔しているでも良いですし、小さい時に母親を亡くしていて女性を神聖視しているとか、天涯孤独で家族に憧れているだとか、何かしら説得力のあるエピソードを織り込もうとすれば出来たはずです。
ただ可愛いから何となくでは、犯罪を承知の上で一人の女の子を救おうと言う動機付けには弱い気がします。

その他の登場人物は大体行動パターンが同じです。
最初は吉田の行動を諭したり反発したりするのですが、やがて吉田さんに同化していきますw
沙優と触れ合い話をすると、庇護欲求が満たされて沙優を立ち直らせる為、法に触れようと倫理的に問題があろうと味方をしてしまうのです。
大人なはずの上司の後藤さんも、吉田さんが好きで同居に反発していた後輩ちゃんも、沙優の兄も、あまつさえ沙優をレイプしようとした昔の援交相手ですら沙優を庇護し助けようとします。
どうも作者の中では沙優を庇護し立ち直らせることは、倫理観や法律、常識、正論よりも正しくて、その正義が全てに優先されるようです。
実際、最終的に正論を吐くのはヒステリックに喚く沙優の母親だけになります。
このようなセンシティブで対応の難しい問題に直面した時、人の行動原理が全く同じにはならないと思うんですけどね。
作者が思う正義を貫き、沙優を立ち直らせる事ができるのは吉田さんだけで良かったように思います。
第一、沙優のお兄さんが吉田さんと同じ考えなら、初めから救ってやれよと、なんで援交せざるを得ない状況に追い込まれるまで放置したのかと小一時間問い詰めたいw


この作品を見ていて思ったのは、キャラクターの作り込みが甘く、かつ作者の都合の良い方へ動いていくのでどうしてもリアリティを感じ無い事です。
まず、メインとなる作者の描きたい感動的なストーリーがあって、その後注目されて話題になりそうな、過激な出来事として援交という要素を盛り込んだのでは?と邪推したくなります。
そう言った手法を否定する気はないですが、キャラクターに重い十字架を背負わせる以上、しっかりと心の揺れ動きを描写して頂きたいです。
こう言う視聴者に甘えた作品は、我々のような捻くれた大人のオタクからは「リアリティが無い」「作者の妄想」「ファンタジー」「キャラが薄っぺらい」と批判されてしまいます。
もちろん作者の描きたかったメインのお話は、感動できる良い話だから原作もヒットしたのでしょうし、このアニメで感動した人がいるのは、それはそれで素晴らしい事だと思います。
私のような面倒くさいオタクにならないで、その感性を大事にして欲しいですw


実際、メインのストーリーは良かったと思うので、無理に過激な強い引きを作らないで良かったのではないでしょうか?(強い引きが無いとヒットしないのかも知れないけど)
やるならば綿密に作り込んで、その設定を生かすべきです。中途半端が一番いけません。
つらつらと、おじさんが戯言を書きましたが、惜しい作品だからこそ粗が目立ってしまうだけで、光る部分はある作品だと思います。
アニメを一度視聴してみて、自分の感性を試してみるのも良いかも知れませんw
では、良きアニメライフを!


以下はマイセンのあとがき

echoさんがおっしゃる事が非常によくわかります。
アニメにおけるリアリティーについてですが、例えば異世界転生モノだったらリアルというか、現世界の常識に当てはめる必要は無い訳です。
日常系アニメもギャグテイストだったら現実的で無くてもリアルじゃなくてもいい訳です。
しかし、こういった現実に即した作品はリアリティーが無いと興ざめです。
特に心理描写が大切な作品は、そこをしっかりと描かなくては駄作になってしまいます。
echoさんは「私のような面倒くさいオタク」と書いてますが、私は「目の肥えたオタクを満足させられる様な作品では無い」と読み解いてます。
取り合えず視聴しなくて良かったですw
echoさん、有難う御座います。

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