アニメ批評その882 ぼっち・ざ・ろっく!
評価:★★★★(ガールズバンドの傑作)
概要
はまじあきによる日本の4コマ漫画。
『まんがタイムきららMAX』(芳文社)にて、2018年2月号から4月号までゲスト連載後、同年5月号から連載中。
略称は「ぼざろ」。
キャッチコピーは「陰キャならロックをやれ!」。
次にくるマンガ大賞2019・コミックス部門で8位にランクインした。
系列誌のヒット作で、同じく女子高生によるガールズバンドを取り扱った『けいおん!』の舞台が高校の部活動(軽音楽部)であるのに対し、ライブハウスを中心に活動するバンドを題材としており、はまじ自身も差別化をはかるうえで意識した部分の1つであるとインタビューで述べている。
2021年2月発売の『きららMAX』2021年4月号にてテレビアニメ化が発表され、2022年10月から12月まで放送された。
あらすじ
後藤ひとりは動画投稿サイトで評判のギタリストギターヒーローの名で活動する少女だった。
その一方で彼女は、極度の人見知りでコミュ障であるため、バンド活動や文化祭ライブに憧れつつも、音楽のパートナーどころか友達すら作れないまま中学を卒業する。
高校生になってからある日の帰り、自分が所属するバンド「結束バンド」のギタリストを探していた伊地知虹夏にギターを持っているところを見つけられたひとりは、強引にギタリストとしてバンドメンバーに加えられて、ライブハウスで演奏することになる。
念願のバンド活動ができるようになったひとりだったが、人前での演奏やセッションでの演奏に慣れていないため実力を発揮できない。
それでもバンドメンバーの山田リョウ、喜多郁代と共に、ひとりは次第にギタリストとして成長していき、ライブハウスでの演奏などの他、学校での文化祭にも「結束バンド」のメンバーで参加して演奏する。
近年稀にみる豊作期だった2022年秋アニメにおいて、首位を争うレベルで人気のあったアニメの紹介です。
ガールズバンドモノという事で、けいおん!と比較する方が多かったのですが、
私は主人公であるぼっちちゃんが超絶なコミュ障で陰キャな事から、
わかモテのもこっちと重ね合わせてました。
よくよく考えればルックスもですが、ギターという特技があるという点において、もこっちとは能力値が段違いでした。
失礼な比較をしてごめんなさい。
◆アニメの理想形
良いアニメを作るには「潤沢な予算」と「余裕のあるスケジュール」が必要ですが、そんなに恵まれた好機はそうそう訪れません。
スケジュールはともかく、限られた予算の中でアニメを製作するという事は、作画カロリーの上限が低いという事になります。
本作の作画に関しては、手の抜ける処では全力で抜いている印象です。
それが何故見栄え良く見えるのか?については、例えば↑のシーンですと顔の影の調整具合で「ぉ?凝ってるねぇ!」と視聴者を唸らせる事が出来ます。
割と重要なシーンでも手抜き作画だったりするのですが、それを手抜きと見せない処か作画が良さげに見えてしまうというのはとても凄い事なのです。
他にはカメラアングルの工夫だとか、
手抜き画を使うとかで、作画カロリーを大幅に抑えてます。
勿論この手法は面白く無いとアカンのですが、
ぼっちちゃんのキャラの魅力を引き出すシーンにもなってたりして、手抜きがプラス材料となってます。
何なら実写まで使います。
割と実写が使われるシーンが多く、背景の出来が良いシーンだと実写かどうか悩む場面もあります。
予算が少ないからクソ作画!というアニメは数えきれない程ありますが、本作の様に視聴者に不快感を与えない程度の手抜きをし、カロリー控えめなのに良く見せる手法はアニメ制作の理想形だと思います。
これは技術の話だけで無くセンスも問われる事だと思いますが、思わぬ処で作画力を拾うする手法もオタクはみんな大好きです。
◆けいおん!との比較
同じガールズバンドモノの『けいおん!』は★5評価にしているのですが、私は本作の評価を★4としました。
私がけいおん!を大好きだから、という訳では無く、単純に人気の違いと思って頂ければと思います。
本作は確かに人気アニメにはなりましたが、社会現象にまで発展したけいおん!と比較してしまうと知名度も認知度も大幅に劣っております。
本作がけいおん!に勝てなかった最大の理由は「キャラ人気」と「楽曲」では無いでしょうか。
主人公のぼっちちゃんは大人気ですし、
ボーカルを務めている喜多ちゃんも人気があると思います。
特に喜多ちゃんは私が大好きな長谷川育美さんが演じられておりますので、応援したい気持ちは人並み以上です。
しかし、けいおん!には人気キャラが3名おりまして、甲乙つけ難く「三強」といった具合でした。
楽曲に関しては、本作も素晴らしい出来ではあるのですが、けいおん!ほどの人気や評価は受けておりません。
加えて当時の京アニ人気もありましたので、ポテンシャル以上の人気が出てしまったという部分もあるかもですが、現時点では明確にけいおん!よりも劣っている点が最低2つはあるという事です。
人気や曲の良さに関しては主観的なモノでは無く、円盤やCDの売上、メディアへの露出度等を考慮しての評価です。
私個人の好みで言わせて頂ければけいおん!よりも本作の方が好きです。
キャラの魅力という点においては、私の中ではけいおん!に負けているとは思ってませんし、
音楽に対する情熱に関しては、比較できないほどの差があります。
けいおん!はあの緩い空気感が良かったのですが、音楽に対する情熱が強かったか?というとそうでも無くて、あずにゃん以外はマイペースで練習している感じだったのに対して、本作はプロを意識してガチで音楽に取り組んでいる点に好感が持てます。
あんまり練習しなくても才能でどうにか出来てしまう感じのけいおん!に対し、努力で技術を得ている本作の子達の方が私は好きです。
◆ストーリーも素晴らしい
予想通りの展開にならない面白さがあり、素晴らしいストーリーだったと思います。
コミュ障設定の主人公がすぐに陽キャになる例はかなり多いのですが、本作に至ってはその心配は御座いません。
少しずつ成長しているぼっちちゃんですが、コミュ障で卑屈ですぐに調子に乗る点は変わりません。
ガールズバンドモノのアニメはけいおん!以外に人気作はありませんでしたが、本作の成功をみて、これからこういったジャンルのアニメが増えると予想します。
多分じゃ無くて、絶対に増えます。
「ぼっち・ざ・ろっく!はけいおん!の劣化」という方もいらっしゃいますが、総合的な評価では負けるにしても、本作にはけいおん!には無い良さが多々ありますので、少しでも興味を持った方は是非ご視聴下さいませ。
曲のPV動画をここに貼ろうかと思いましたが、ネタバレになるので自重しました。
本当に面白いので是非!
それでは、良きアニメライフをノシ