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【名馬列伝】ナリタブライアン【シャドーロールの怪物】

私が生まれて初めて見たクラッシック三冠を達成した競走馬がナリタブライアンでした。
それだけに思い入れの深いブライアンの紹介記事となります。

◆生い立ち

1991年5月3日、北海道新冠町にある早田牧場新冠支場にて誕生。
父・ブライアンズタイムは早田牧場が中心となったシンジケートが組まれてアメリカから輸入された種牡馬で、本馬はその初年度産駒でした。
母・パシフィカスは前年に半兄・ビワハヤヒデを出産しております。
誕生後しばらくはこれといって目立つ馬では無かったそうですが、次第にその身体能力が鍛錬にあたった牧場スタッフによって高く評価される様になり、ブライアンの調教を担当した其浦三義氏によるとバネや背中の柔らかさ、敏捷性において半兄のビワハヤヒデをはるかに超える素質を感じたと述べております。
一方で調教中に水たまりに驚いて騎乗者を振り落とすなど臆病な一面も見せました。
ブライアンは庭先取引によって山路秀則氏に購入され、大久保正陽厩舎に入厩する事になります。

◆ジュニア期

ビワハヤヒデの弟という事で注目を集めますが、デビュー戦は2着。

めっちゃ強いイメージのあるブライアンですが、朝日杯を制するまで3度も負けてます。
当時出走数が多い事で大久保調教師が叩かれる事があったのですが、これには理由があります。
ブライアンはレースが近づくと興奮し過ぎてしまう傾向があり、レース間隔を詰めたローテーションでイク方針を取った点と、レースで使いながら調子を上げてイクという方針は大久保調教師のヤリ方だったからです。
自分の影にも驚くほど臆病な性格は、京都3歳S(OP)からシャドーロールを装着する事により解決します。
以降のレースでは競馬評論家の大川慶次郎氏が「精神力のサラブレッド」と評するほどの優れた集中力を発揮する様になり、ここからが伝説の幕開けとなります。

◆クラッシック期前半

朝日杯を圧勝し、JRA賞最優秀3歳牡馬に選出されたブライアンですが、皐月賞の前に共同通信杯、スプリングSと2回出走し勝利します。
どちらも圧勝でしたが「レース出過ぎじゃない?」と思ってたファンは多かったと思います。
当時のオーストラリアの競走馬は出走数が非常に多く、レースで使いながら調子を上げてイクスタイルが多かったのですが、ここは日本だし格下相手に負けて欲しく無いという気持ちは私もありました。
先に述べた通り、ブライアンの気性と大久保調教師の方針の問題なので、勝っている内は文句を言うのは辞めようと友人と話した事を思い出しました。
皐月賞では断トツの1番人気に応え、従来のレコードを0.5秒も上回るタイムで圧勝。

続くダービーでは皐月賞を上回る支持率を受け、超断トツの1番人気となります。
中団前目からの進出で、出走馬の中で最速の上がりをマークして圧勝します。
テイオー、ブルボンが成し得なかったクラッシック三冠に王手を掛けた状態で、札幌・函館の両競馬場において調整される事になります。
これは避暑を行うという目的でしたが、通常出走予定のない競走馬に両競馬場内の馬房が与えられる事は無いのですが、ブライアンの実績が考慮されて特例で許可されました。

◆日本競馬史上5頭目となる三冠達成

秋初戦は菊花賞トライアル競走の京都新聞杯が選択されます。
当然圧倒的支持率を得ますが、北海道から戻ってきてから軽い調教師か出来なかった事が響いて2着に敗れます。
続く菊花賞では、調子が上向いたという事と三冠達成に期待が掛かっていた事もあり単勝1.7倍の1番人気に推されます。

年末の有馬記念で兄弟対決が期待されましたが、直前の天皇賞(秋)で兄のビワハヤヒデが故障してしまい、勝って欲しいのは勿論ですが同時に「無事走り切って欲しい」という気持ちも強くありました。

弟は大丈夫だ!弟は大丈夫だ!弟は大丈夫だ!

10年振り、10年振りの三冠馬!ナリタブライアン!!

レースは早めに抜け出すと後続を突き放し、芝状態は稍重だったにもかかわらず兄ビワハヤヒデが前年にマークしたレコードを更新する走破タイムで優勝し、日本競馬史上5頭目となるクラシック三冠を達成します。
生まれて初めて三冠達成の瞬間を目に焼き付ける事が出来た事と、京都競馬場にこだまする南井(騎手)コール!
そして馬連1点&単勝を的中させた私
まさに感動の嵐でした。
皐月賞を圧勝し、ダービーではそれ以上の着差をつけ、菊花賞では更に凄い着差で圧勝した事から「ルドルフを超えたのでは?」という声も多く聞かれました。
菊花賞でのブライアンのレースぶりについて武豊騎手は「まず2,000メートルの競馬を走って勝って、そのまま別のメンバーと1,000メートルの競馬をやってぶっちぎったようなもの」と評してます。

◆古馬相手に圧勝

古馬との初対戦となった有馬記念ではファン投票において17万8471票の票数を集め、当日は単勝オッズ1.2倍(2番人気のネーハイシーザーは12.3倍)の圧倒的な1番人気に支持されます。

このレースではウマ娘でお馴染みのヒシアマゾン、ライスシャワー、ナイスネイチャ、ツインターボなどが出走しており、マチカネタンホイザは競争除外となっておりました。
エンターテイナーのターボ師匠がレースを盛り上げた後、ブライアンは4コーナーで早くも先頭に立つと、そのまま突き抜けて圧勝します。
2着のヒシアマ姐さんに3馬身差をつけましたが、姐さんは3着のライスに2.1/2差つけてますので、ブライアンがいなかったら姐さんが有馬記念で記録を打ち立ててた訳です。
1994年の通算成績は7戦6勝・GⅠ4勝で、同年のJRA賞年度代表馬および最優秀4歳牡馬に選ばれます。
年間総収得賞金は、史上最高額となる7億1,280万2,000円でした。

◆絶頂期からの転落

シニア期初戦は阪神大賞典(GⅡ)からの始動で、3000mという長距離なのにもかかわらず生涯最速の上がり(3ハロン33.9秒)というタイムを出して楽勝します。
この時点で「来年はアメリカのGⅠを狙う」という発言が陣営から出ており、ブライアンにとってはまさに絶頂期だったと思います。
ですが、レース後に腰に疲労が蓄積しているとの診断を受けてしまいます。
厩舎スタッフは軽めの運動に切り替えますが、その後右股関節炎を発症している事が判明し、天皇賞(春)への出走は断念されます。

秋に復帰したブライアンですが、主戦騎手の南井氏が怪我により乗り変わりとなります。
的場騎手と武豊騎手がそれぞれ乗りますが、天皇賞(秋)は12着、ジャパンカップでは6着、有馬記念ではマヤノトップガンの4着に敗れます。
この時のブライアンは故障した箇所が痛むので本気で走れなかったと聞いておりましたが、実際はそうでは無く「頭のいい馬なので、再び故障する事を恐れて本気で走れなくなっていた」という事が後年判明しました。

◆新旧年度代表馬対決

1996年初戦には前年と同じく阪神大賞典が選択されます。
ここでマヤノトップガンと再度対決する事になるのですが、ともにブライアンズタイム産駒であり1994年度の年度代表馬であるブライアンと1995年度の年度代表馬であるマヤノトップガンの対決には土曜日とは思えないほどのファンが競馬場に詰めかけ注目を集めました。
年度代表馬同士の直接対決は1985年天皇賞(春)におけるシンボリルドルフとミスターシービーの顔合わせ以来11年振りでした。

さぁブライアン、甦れ!甦れ!ブライアン!

杉本清アナウンサーの超絶贔屓な実況が印象的でしたが、最終直線からゴールまでの壮絶な一騎討ちを制したのはブライアンでした。
3着につけた着差は9馬身で、ここまで凄い一騎討ちを初めて見ました。
競馬ファンの間では名勝負として語り継がれているレースですが「全盛期のブライアンなら接戦にならずに突き放していた」という意見もありましたが、ブライアンだからこそのあの実況ですし、見ていた我々も熱くなれたんだと思います。
ちなみに実況の杉本アナですが、プライベートで阪神競馬場に遊びにきた処を「暇だったらメインの実況お願いしますよw」とお願いされて「いいよ♪」と引き受けたそうです。
そんな軽いノリで決まるモノなのかw
その上で「ちょっとブライアンを映して下さい」とか「甦れ!ブライアン!」とか実況しちゃうって自由過ぎて好きです。

◆油断した天皇賞(春)

次戦の天皇賞(春)では1番人気に推されるも、サクラローレルに敗北してしまいます。
鞍上は武豊騎手から南井騎手に戻ったのですが「道中掛かり気味だったにも関わらず早めのスパートをしたのが失敗」とされた敗因ですが、後年そうでは無かった事が関係者の証言により明らかになりました。
敗因は油断です。
掛かり気味にみえたブライアンですが楽な手ごたえで最終直線を迎え、サクラローレルが迫って来るまで南井騎手は本気で追ってませんでした。
南井騎手はブライアンに久々の騎乗という事もあり、かつて最強だった時の感覚で乗っていたとの事です。
全盛期だったらそのまま勝てたかもしれませんが「沈まぬ馬体」と言われてしまった様に、この時のブライアンは力強いスライドでは走れなくなってました。
それでも強かった事は確かですが、超絶強い怪物が普通の強い馬くらいになったという感じです。
この時の油断した騎乗を咎められて、南井騎手はブライアンから降ろされてしまいます。

◆謎の多い高松宮杯

当時は5月に開催されていた高松宮杯ですが、ステイヤーとしての印象が強いブライアンが何故1200mのレースに出走したのかは後年まで謎とされてました。
本件について大久保調教師は記者からの取材も断っていたため「流石に距離が短すぎるんじゃないか」「せめてマイルの安田記念に出走させるべきだ」「宝塚記念直行でも良かったのではないか」という指摘が競馬関係者は勿論ファンからも多数ありました。
結果は4着。
スタートが悪かったという話もありましたが、全盛期で無いブライアンに短距離戦は荷が重かったのかもしれません。
結局このレースに出走した本当の理由は未だに謎ではあるのですが、後年にされた大久保調教師のコメントからある程度の推測がなされております。
あくまで推測ですが、
・大久保調教師はブライアンがかつての走りが出来なくなっている事を認められなかった
・この年からGⅠに格上げとなった高松宮杯を優勝する事でルドルフとの差をつけたかった

この2点が主な理由では無いか?という意見が定説となってます。
勝率という点で見るとルドルフには到底及びませんので、ルドルフが挑戦しなかった1200mのGⅠに勝って差をつけたい、第一回目のGⅠ高松宮杯勝利馬として後年に名を残せるという狙いは確かにあったのかもしれません。
この後、故障して引退する事になるのですが、引退が決定してからも大久保調教師は「まだ走らせたい」という事を口にしていたそうなので「大久保調教師のエゴ&見誤り」という事になっております。
個人的には馬主の意向もあったのではないか?と考えておりまして、山路秀則氏は持ち馬を多くのレースに出走させる傾向にあります。
委託先の厩舎はバラバラで、ブライアンに限らず通常では歩まないローテーションを組んでいる事を考えると、ブライアンのローテーションは調教師だけでは無く馬主の意向が強かったのではないか?と思わざるを得ません。
冠名ナリタ&オースミの馬のローテーションには否定的な意見が多く見られますが、特殊なローテーションだからこそ生まれる記録というモノがあります。
オグリキャップが良い例では無いでしょうか。

◆引退

同年11月16日に東京競馬場で引退式が行われ、京都競馬場では菊花賞優勝時のゼッケン「4」を着け、東京競馬場では日本ダービー優勝時のゼッケン「17」を着けて引退式が行われました。
関東と関西2か所で引退式が行われた競走馬はシンザン、スーパークリーク、オグリキャップに続きJRA史上4頭目であり、1997年には史上24頭目の顕彰馬に選出されます。

◆引退後

1998年6月17日、ブライアンは疝痛を発症し、三石家畜診療センターで診察を受けた結果、腸閉塞を発症している事が判明します。
緊急の開腹手術が行われ、いったんは快方に向かうのですが、9月26日午後に再び疝痛を起こし再び三石家畜診療センターに運び込まれた際にはすでに胃破裂を発症しており、開腹手術を行ったものの手遅れでした。
ブライアンの馬房には監視カメラが設置されており、夜には見回りもするという万全の態勢でしたが「我慢強い馬で頑張り屋だから、痛くても無理をしていたのかもしれない」との事で、病状の変化を見抜く事が困難だった様です。
種牡馬になってから2年後の出来事であり、たった2年間では結果が出せませんでした。
死後、1999年9月に栗東トレーニングセンター内にナリタブライアンの馬像が建立され、CBスタッドではブライアンが使用していた馬房は「永久欠番」にする事になりました。
ブライアンがもっと長生きしていれば、早田牧場も倒産しなかったかもしれません。

◆ブライアンの強さ

同期が弱かったという声もありますが、クラッシック期に有馬記念で圧勝してますし、多くの競馬関係者から非常に高い評価を得ております。
南井騎手
「今まで乗った馬の中で一番強い」
武豊騎手
「ブライアンがまともな状態で出たとしたら、ヨーロッパ三冠を制したラムタラですら簡単には勝てないと思う」
オリビエ・ペリエ騎手
「この馬の競馬ぶりは本当に衝撃的だった」「全盛時の走りは世界クラスだった」
岡田繫幸氏
「来年のクラシックは全部ブライアンが持っていっちゃうだろうなあ。ウチの馬(マイネルの馬)の出番はないよ。悔しいけど、認めざるを得ないなあ……」

競馬ファンによる投票での評価をみると、2000年にJRAが行った「20世紀の名馬大投票」において3万7,798票を獲得して1位。
2010年にJRAが行った「未来に語り継ぎたい不滅の名馬」では第3位(1位はディープインパクト)、2015年にJRAが行った「未来に語り継ぎたい名馬BEST100」では第6位でした(1位はディープインパクト)
GⅠレース5勝という戦績は実に凄い実績ですが、全盛期のブライアンにはそれ以上の強さを感じました。
ウマ娘ではメインストーリー第4章ですが、

ここで失禁しかけたのは私だけでは無いはずです。
明らかに全盛期を過ぎ、かつての走りが出来なくなったブライアンをここまでカッコよく描けたサイゲさんの手腕には脱帽です。

ナリタブライアン、七馬身差の衝撃。

群れに答えなどない。

クラッシック三冠とマヤノトップガンとの阪神大賞典は必見なので、是非ご覧になって下さい。
あと有馬記念も!
それでは、良きウマ娘ライフをノシ

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