アニメ批評その1009 絶望の怪物
評価:★★★(短時間で得られる絶望)
概要
2019年に製作されたコタニジュンヤ監督の個人制作劇場アニメ。
第23回⽂化庁メディア芸術祭アニメーション部門審査委員会推薦作品。
第74回毎日映画コンクールアニメーション映画賞・大藤信郎賞ノミネート作品。
アニメ制作経験のない漫画家のコタニジュンヤが2016年より3年の歳月をかけ自主制作し完成させる。
その後、名古屋の大須シネマで2019年6月10日より自主配給の単館上映が実現する。
大須シネマ上映終了後、東京の下北沢トリウッドでの上映が決定し、12月には大須シネマ、下北沢トリウッドのアンコール上映と共に大阪のシネ・ヌーヴォXでの上映が決定、自主配給での東名阪三都市上映となった。
「1話完結型で絶望感が得られるアニメ」と聞いて視聴しましたが、色んな意味で驚かされました。
まず作画のショボさに驚かされ、声優も全く知らない素人さんです。
「個人制作のアニメなのだから仕方が無いな」と諦め、1話完結型ですしまぁまぁまぁ・・・と自分に言い聞かせながらの視聴でしたが・・・
観て良かっただか悪かったんだかという複雑な感情にさせられましたw
本作の悪い部分は先に述べた通り、作画と声優のショボさですが、これに関しては個人制作のアニメなので仕方無いと割り切れます。
私は初見で半端無い絶望感を感じたのですが、人によってはこれが「悪い部分」というか、観て後悔する様な部分だと思います。
逆に良かった点はまさにこの絶望感で、30分弱のアニメでここまで凄い絶望感を与えてくれる作品が他に思い浮かびません。
◆めっちゃ深そうなアニメ
初見の時は半端無い絶望感に精神がヤラれて、すぐにお布団に入って寝入ってしまった私でしたが、レビューを書く為に3回視聴しました。
最初は耳障りに感じた主人公の葵ちゃんの声にも慣れましたし、何なら可愛いとすら感じました。
コタニジュンヤ監督が本作を通じて視聴者に何を伝えたかったのかは私には分かりかねますが、単純に絶望感とインパクトを与えるだけの作品では無いと感じました。
本作のストーリーや設定は非常に分かりやすく、作中に先の展開が予測出来る伏線まで用意されてますが、表面上のストーリーだけで本作を評価するのは無粋というか、非常に勿体無いです。
「絶望の怪物」というタイトルですが、人間生きてれば大なり小なり絶望する事もあるでしょうし、自分が怪物である事を隠して生活している方も一定数いらっしゃるはずです。
犯罪者が警察の捜査に怯えたり、私の様に人様に言えない様な性癖を持った人間が周りにバレないか怯えたりと、一般人の仮面を被った怪物はそこら中にいそうなモノです。
そう考えると非現実的とも思える設定やストーリーも、実は我々一般人に置き換える事が出来るんじゃないか?とか、主人公が抱えてる様な絶望的な悩みを持った方が多いんじゃ無いか?と考えてしまいます。
いつもだったらもっとスクショを貼って「こんな感じのアニメです」と紹介するのですが、極力ネタバレしたく無かったので控えさせて頂きました。
wikiにも壮大なネタバレが書いてあったので、視聴前には見ない方が良いと思います。
評価としては1話完結型のアニメで作画や声優が・・・という事で★3ですが、個人的にはかなり気に入っております。
鬱アニメが苦手という方にはオススメ出来ませんが、短時間で強烈なインパクトが受けられる作品なので、出来れば多くの方にご視聴して頂きたく存じます。
それでは、良きアニメライフをノシ