ピークアウトの話@ウマ娘
ちょっと前に不本意な形でアニメ3期がXでトレンド入りしてましたね。
「なんのこっちゃ?」と思う方に簡潔に説明しますと、ドウデュースの陣営が「海外遠征せずに秋シニア三冠を狙う」と発表した事に対し「ピークアウトしたキタサンみたいだな」とポストした方が燃えたという話です。
もうこの手の話はしたくなかったのですが、勘違いしている方が多そうなので改めて解説させて頂きます。
◆キタサンのピークアウトについて
「史実のキタサンブラックはピークアウトなんてしてなかった」
これは正しいかもしれませんが、正しくはありません。
プロのホースマンですら、その馬がピークアウトしたかどうかを見抜くのは難しいのに、素人の部外者が断定的に言える訳が無いのです。
おこがましいにも程があります。
仮にその馬の関係者が「こうだ」と語っても必ずしもそれが事実とは限りませんし、キタサンに限らずこれから種牡馬として稼ごうとしている馬を評するときに「全盛期を過ぎてボロボロです」と言ったら評価が下がるかもしれないので「まだまだ元気で全盛期の力を維持してます」と言った方が聞こえが良いでしょう。
ある程度競馬を観ていれば分かりそうな事ですが、厩舎の関係者って結構嘘をこきますよね?
本当は調子が悪いのに「絶好調です!」とコメントして後で「実は調子が悪くて…」と惨敗した後に言い訳したり、万全の仕上がりなのに「今回は太め残りというか、叩き台なので順位はあまり気にしてませんよ」みたいな事をおっしゃる時もあります。
馬主への配慮だったり、他陣営へのけん制だったり、記者に対するリップサービスだったりで、割と適当な事を言ってしまう事が多々あります。
なので、当時の関係者のコメントは参考程度に留めるべきで、事実として受け止めるのはどうかと思います。
同じ馬の話でも調教師と騎手が真逆の事を言っていたかと思えば、馬主がまた全然違う事を言いだすなんて事もあります。
競馬に関する知識を仕入れれば仕入れる程、疑心暗鬼になった私ですw
私個人の意見を述べさせて頂くなら、キタサンは全然ピークアウトしていなかったと思ってますし、引退後の様子を見ても「あと2年は走れたのでは無いか?」と思う程です。
事実がどうであれ、当時を知る競馬ファンの多くがキタサンがピークアウトしていたとは思っていない感じでしたので、アニメ3期のテーマをピークアウトにしたのは悪手だったかもしれませんが、テイオーの様な劇的な戦績だった訳では無かったキタサンを悲劇の主人公に仕立てるのは他に方法は無かったのかもしれません。
◆ピークアウト設定の戦犯
3期の制作状況が分かる本だかが販売されてましたが、そこに何が書いてあっても信ずるに足らない情報だと判断した為、私は読んでおりません。
3期が大成功したならその要因を探るべくアニメレビューアーとして興味がそそられたかもしれませんが、円盤が2万枚売れたと言っても2期の20万枚と比較するとかなり下落しており、お世辞にも大成功とは言えない状況です。
3期のピークアウト設定についてアニメの制作陣が責められておりますが、そういった重要な設定を公式の許可無しで決められるとは到底考えられません。
アニメの制作サイドから打診があった場合は公式がその解釈を容認したという事ですし、なんなら公式サイドから「今回はこういったテーマにしてくれ」という指示があったと考えた方が自然です。
仮に監督の一存でテーマが決まった、と本に書いてあったとしても私は「そう言っておかないと不味い」と解釈しますし、運営的にも「ここまで燃えるとは思わなかった」と感じてる事でしょう。
スペやテイオーでも無ければ13話構成のアニメは誰が主人公になっても難しいと思いますし、私はキタちゃんが主人公でどう話を組み立てるのか想像がつきませんでした。
正直かなりきついだろうと思ってたのですが、それはまた別の機会で触れさせて頂きます。
◆引退=ピークアウトでは無い
ウマ娘から競馬に興味を持った方の中にはご存じ無い方もいらっしゃる様なので、一応解説しておきます。
競走馬で稼ごうと思ったらレースの賞金だけでは苦しく、引退後に種牡馬や繁殖牝馬として活躍した貰う必要があります。
キタサンブラックが引退後に稼いだ金額は以下の通りです。
種牡馬1年目:種付け料500万円、種付け頭数130頭=6.5億円
※種付けしても不受胎という時があり、その場合は種付け料が返金される場合もあります
「6.5億円ならジャパンカップと有馬記念を勝てれば、そっちの方が稼げたじゃん」
と思われましたか?
確かにレースに勝てればそちらの方が稼げたかもですが、勝てなければ賞金は稼げませんし、故障のリスクも伴います。
種牡馬2年目:種付け料400万円、種付け頭数110頭=4.4億円
種牡馬3年目:種付け料400万円、種付け頭数92頭=3.68億円
種牡馬4年目:種付け料300万円、種付け頭数102頭=3.06億円
2年目からは稼ぎが減っておりますが、
優秀な産駒達の走りにキタサンの評価が高まります。
種牡馬5年目:種付け料500万円、種付け頭数178頭=8.9億円
種牡馬6年目:種付け料1000万円、種付け頭数242頭=24.2億円
24.2億円!
分かりますよね?この凄さが!
ピークアウトしていなかったとしても、ある程度の価値が認められれば元気な内に種牡馬(繁殖)に上げた方がリスクが低く、より稼げるという話です。
ちなみに2024年の種付け料は2000万円だそうなので、もし種付け頭数が200頭なら40億円稼ぐ事となります。
キタちゃん凄過ぎワロタw
◆話を戻します
キタサンはピークアウトしていなかったと思うけど、それを断定的に語るのはおかしいと思うし、アニメ3期のテーマ選定はミスってたと思うけど、キタサンを主人公にした時点でどう転んでも上手くはいかなかっただろうというのが私の見解です。
3期はテーマ以外の部分でも「そこはもうチョイどうにかならなかったのかな?」と感じる部分が多々ありましたが、ソシャゲ原作のアニメの中では上澄みと言えるぐらいの出来にはなっておりました。
アニメに詳しく無い方は酷評しがちですが、ソシャゲ原作というのを取り払っても下から順に積み上げていったら3期はまだ普通程度のアニメです。
一人のウマ娘ファンとしては残念に感じる出来でしたが、アニメレビューアーとしては酷評する程には酷く無いという評価です。
「3期が何故失敗しそうだと思ったのか?」
「競馬ファンにありがちな決めつけ」
このどちらかについて記事化しようと思ってるのですが、皆さんはどちらに興味がおありでしょうか?
要望が強かった方を記事化するつもりなので、忌憚なきご意見を頂けましたら幸いです。
それでは、良きウマ娘ライフをノシ












