アニメ批評その1305 ピンポン THE ANIMATION
今年の秋アニメのレビューが来ると思ってたらまさかのw
今日は水曜日なので、毎週恒例のechoさんのレビューとなります。

評価:★★★★(独特な世界観をそのままアニメ化した怪作)
概要
『ピンポン THE ANIMATION』は、週刊ビッグコミックスピリッツで連載されていた松本大洋の漫画を原作としたTVアニメ。
単行本は全5巻。
2002年には窪塚洋介主演で実写映画化もされている。
2014年、フジテレビ「ノイタミナ」枠にてTVアニメが放送された。
原作の絵をほぼそのまま再現し、アニメ化するという試みが行われており、松本大洋が連載時に着想していたものの描写できなかったエピソードも多数映像化されている。
2015年には、東京アニメアワード2015でアニメ オブ ザ イヤー(テレビ部門)グランプリを受賞した。
あらすじ
ピンチの時にはヒーローが必ず現れる―。
自由奔放で自信家のペコ(星野裕)と、クールで笑わないスマイル(月本誠)。
二人は片瀬高校卓球部。
子供のころ、ペコに誘われて卓球道場タムラで卓球を始めたスマイルはかなりの腕前だが、今でもペコにはなかなか勝てない。
そんなペコの前に、辻堂学院の留学生、孔文革(コン・ウェンガ)が立ちふさがる。
また、片瀬高校の顧問・小泉は、スマイルの能力を開花させるため個人レッスンに乗り出す。
ドラゴン(風間竜一)率いる常勝・海王学園を揺るがすのは誰か。
海王に通うペコとスマイルの幼馴染、アクマ(佐久間学)も闘志を燃やす。
各人の思いをよそに、インターハイ予選は近づいてくる。
274cmを飛び交う140km/hの白球。
その行方が、頂点を目指す少年たちの青春を切り裂く。
ヒーローは、現れるのか―。
地上最速のスポーツ、卓球に青春を捧げる、五人五様の“ネオ”スポ根物語。

漫画家の松本大洋先生といえば、独特でスタイリッシュなデザインと唯一無二の世界観を持ち、映像化が難しい漫画家として知られています。

本作『ピンポン THE ANIMATION』は、その強い個性と独特なクセを損なうことなく、見事にアニメーションとして再現した作品です。

監督を務めるのは『四畳半神話大系』『犬王』『映像研には手を出すな!』などを手掛け、斬新な手法で数々のアニメーション賞を受賞してきた湯浅政明監督です。

湯浅政明監督は同時期に「サイエンスSARU」を立ち上げており『ピンポン THE ANIMATION』の主要スタッフも同スタジオに合流しています。

近年のサイエンスSARUの活躍は目覚ましく『映像研には手を出すな!』『ダンダダン』『SANDA』といった話題作を次々と制作していますが、その原点が『ピンポン THE ANIMATION』にあると言っても過言ではありません。

舞台は、強豪校がひしめく神奈川県の卓球部です。

持ち前のセンスで、子供の頃から卓球が強かったペコと、その親友であるスマイルが物語の中心になります。

才能だけでここまで勝ち上がってきたペコは、中国からの留学生・チャイナ(孔文革/コン・ウェンガ)に完敗を喫してしまいます。

一方、普段は大人しく闘争心を表に出さないスマイル(月本誠)でしたが、顧問の小泉がその才能に目を付け、徹底した指導のもとで急成長を遂げ、ついにはチャイナを打ち破るまでになります。

インターハイ予選で負けた事で自暴自棄になり、卓球から距離を置いてしまうペコ
。
対照的に着実に実力を伸ばしていくスマイルの存在が描かれていきます。
かつて“ヒーロー”と呼ばれたペコは、再び輝きを取り戻すことができるのか―。
挫折と成長を真正面から描いた、王道にして異色のスポ根アニメです。

本作の魅力を決定づけているのが、その唯一無二の映像表現です。
『ピンポン』といえば、独特な作画とスタイリッシュで荒々しい線が特徴ですが、本作ではそれが漫画の絵そのままに、しかもハイクオリティで動きまくります。

特に試合ではその表現がいかんなく発揮されており、圧倒的な迫力です。

原作漫画は全5巻と、1クールで描くにはやや短い分量ですが、その分アニメではオリジナル要素として脇役たちのエピソードが追加されています。
特にチャイナや真田といった敗れた側のキャラクターにも深く踏み込んだ描写がなされており、彼らにも自然と愛着が湧く構成になっています。

松本大洋と湯浅政明という二つの才能が融合することで、スタイリッシュで芸術的でありながら、王道の熱血スポ根作品としての魅力を存分に発揮した名作です。

アクマの「少し泣く」をはじめ、ネットミームとしても知られる名シーンも数多く登場しますので、ぜひ一度ご覧になってほしい作品です。

年末年始に名作アニメに触れたいという方にも、ぴったりの一本だと思います。
それでは、良きアニメライフを!