アニメ批評その1324 チ。 ―地球の運動について―

評価:★★★(物語の終わり方に賛否が分かれる)
概要
魚豊による日本の青年漫画。
『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)2020年42・43合併号から2022年20号まで連載された。
15世紀のヨーロッパを舞台に、禁じられた地動説を命がけで研究する人間たちの生き様と信念を描いたフィクション作品。
2025年2月時点で、単行本全8巻の累計発行部数は500万部を突破している。
2024年10月から2025年3月までNHK総合にてテレビアニメが放送された。
題名について
『チ。』という題名の意味は、大地(だいち)のチ、血(ち)のチ、知識(ちしき)のチの3つからなる。
また『。』(句点)をつけた意図は、魚豊の好みでもあるが(前作『ひゃくえむ。』でもつけた)、主眼は「句点は文章の終わり、停止を意味する」ことにある。
魚豊は次のように述べている。
大地が停止している状態を「。」で示していて、そこに地動の線(チ)がヒュッと入ることで、止まっていたものが動く状態になる。
「地球は動くのか、動かないのか」を「。」で表現しています。
さらに、『チ。』という一文字と句点のみの題名にすることで、インターネットで検索をしづらくする狙いもある。
魚豊がインターネットで作品名を検索(エゴサーチ)して他者の意見から影響されることを防ぎ、さらには読者が他者による感想に触れずに自分だけの意見を持つことを志向した。
あらすじ
15世紀前半のヨーロッパの「P王国」では「C教」という宗教が中心となっていた。
地動説は、その教義に反く考え方であり、研究するだけでも拷問を受けたり、火あぶりに処せられたりしていた。
その時代を生きる主人公・ラファウは、12歳で大学に入学し、神学を専攻する予定の神童であった。
しかし、ある日、地動説を研究していたフベルトに出会ったことで地動説の美しさに魅入られ、命を賭けた地動説の研究が始まる。

本作を批判する方は割かし多いのですが、その一部は的外れなモノだったりします。
例えば「中世のヨーロッパとはゆえ、地動説に対してそこまで厳しい取り締まりは無かったはず」という批判があるのですが、地方によっては厳しい弾圧があってもおかしくないというか、言いがかりの様な理由で魔女指定して火あぶりにする様な人達なんて何をしても不思議ではありません。
「地動説は神を冒涜する理論だ」と処刑されても何ら不思議では無い時代である事を知らないのは、こういった作品を楽しむ為の教養が足りてません。

私はこのアニメを「終盤までは」とても楽しく視聴していたのですが、物語の終わり方について深く考えさせられました。

正直「思ってたのと違う」と感じてしまい、それでも色々と考えて自分なりに好意的な解釈をするに至りましたが、正直それでも「裏切られた」という感情を完全に消す事は出来ませんでした。

私は本作について「的外れな批判が多い」と申し上げましたが、そうでは無い批判も非常に多く、共感出来てしまう部分があります。
◆うみねこのなく頃にを思い出した

私は結構好きな作品なのですが「うみねこのなく頃に」が炎上した時の事を思い出しました。
ざっくりと解説しますと、原作者の先生とユーザーがTwitter上で大喧嘩し「馬鹿には分からない」みたいな返しがあったりもしたのですが、物語の終わり方が「受け止め方次第で色んな解釈が出来る」「登場人物全員が容疑者になりえる」みたいな感じだったので、納得出来ないユーザーが続出して燃え捲った事があります。

本作の終わり方もそれに似た感じで「解釈の仕方は皆さんそれぞれにお任せします」みたいな感じだったので、批判的な意見が多く出てしまいました。

これはあくまで私一個人が思った事ですが、うみねこの原作者である竜騎士07先生もユーザーを煽らなければあそこまで燃えはしなかった気がしますが、本作の原作者である魚豊先生も、
『チ。』という一文字と句点のみの題名にすることで、インターネットで検索をしづらくする狙いもある
という事で、性格の悪さがにじみ出てる様な感じがして好感が持てません。

まぁ別に性格が悪くても作品が面白ければ良いと思うのですが、魚豊先生は見誤っていたのは「ユーザーの質」です。
いくら日本が漫画/アニメ大国とはゆえ、賢く無い方や「ながら視聴」で物語を十分に理解出来ていない方が多かったりもしますので、そういった事をご理解されて無かったのが宜しく無かったかな?と思う次第です。
◆馬鹿には理解出来ない

残念ながら本作は馬鹿には理解出来ない作品です。
終わり方が気に入らないという意見については私も一定の理解を示せるのですが「理解出来ない」「意味が分からない」「〇〇は生きてたって事でいいですか?」などと言ってしまうと馬鹿にされても文句は言えません。

もっと分かりやすいひぐらしですら理解出来ない大人が多いのに、これほど難解な物語を理解しろといっても、それはちょっと厳しかったのではないか?
あえてエゴサし難くする必要は無かったのでは無いか?と愚考します。

全てを理解した上で「つまらなかった」と言うのであれば「そうか」と聞けますが、理解が及んでいないのであれば感想を口にするのはヤメておいた方が良いです。
「お前馬鹿なんだな」と言われても許せるメンタルがあれば別ですが^^;

原作者先生もうみねこが失敗した理由についてご存じだったら、こういった終わり方にはならなかったかもしれませんし、タイトルに「。」を付けなかったかもしれません。
大絶賛する方がいる一方で批判的な意見が非常に多く、各種レビューサイトでの総合的な評価としては普通になってますので、やりようによっては大人気作品になっていたかもと思うと勿体無さを感じてしまいます。

散々偉そうな事を書いといてなんですが、私も納得のイク解釈に至るまで時間が掛かりました。
私もそんなに賢く無い人間ですが、お互い馬鹿認定されない様に不用意な発言は控えましょう(戒め)
それでは、良きアニメライフをノシ