アニメ批評その1318 キミと越えて恋になる
ケモナーにオススメ…と、そう単純では無い獣族アニメをechoさんがレビューしてくれまんた。
評価:★★(上級者向け少女漫画)
概要
『キミと越えて恋になる』は、『マンガMee』で連載中の少女漫画を原作にしたアニメ。
獣人と人間が共存する町を舞台に、人間の女子高生と獣人の男子転校生の恋愛を描く。
累計発行部数は150万部を突破している。
2025年10月からTOKYO MXほかにて放送された。
あらすじ
どんな壁もキミとなら越えていける。
20XX年、人間社会にほんの少し混じる獣人という生き物。
そんな獣人と人間が共存する町に住む高校生・万理のクラスに、獣人の特例生・繋がやって来た。
初めて接する獣人という存在に戸惑いながらも、クラスメイトとして一緒に過ごすうち、優しくて純粋な繋に惹かれていく万理。
繋も万理の発する「甘いニオイ」に魅了されながら、その美しさと強さに心奪われていく。
でも、獣人が壁の向こうに隔てられているこの世界では、人間と獣人が親しくするだけで好奇の目が向けられる。
ましてや恋愛なんて…。
人間と獣人。種族を越えたふたりの恋の行方はどうなる?
少女漫画原作で種族を越えた恋を丁寧に描く物語です。
獣人の町で生まれて人間の通う高校に留学してきた狼の獣人「繋」は人間の世界で「いつか本性を現して暴走するのではないか」という偏見にさらされています。
主人公の万理は彼と接するうちに、その純粋な内面に惹かれていきます。
普段寡黙で優しい繋ですが、二人きりになり万理の匂いを嗅ぐと動物の本性を発揮して「発情」してしまうシーンが出てきます。
我々男性からすれば「いや、世間の偏見は正しかったんじゃねーか!」「普通にヤバい奴じゃんw」とツッコミたくなるところですが、女性からするとキュンとさせる最大のポイントなのです。
かつての不良漫画にあった「孤独で暴力的だけど、私だけが理解者になれるアイツ」や「周囲には狂暴だけど、私にだけは優しいあの人」。
本作は、その古典的な「不良」という属性を「獣人」に置き換えたものだということに気づかされます。
そう考えると、この「獣人」という設定は極めて機能的で優れています。
「不良」であれば、その暴力性や危うさは本人自身のリスクですが、「獣人」であれば、暴走しても「本能のせい(種族の宿命)」という免罪符が与えられます。
その本能に抗って、理性で誠実に接しようとする姿を描くことで、「優しくて誠実な彼」という理想像を維持できるわけです。
また、彼が孤立しているのも本人の性格ではなく「差別のせい」なので、ヒロイン(読者)は「私だけが分かってあげられる」という聖母願望を存分に満たすことができます。
差別という壁があるからこそ「二人だけの秘密の共有」という文脈も自然に生まれますし、すべては「彼が悪いわけではない」という理屈が通ります。
さらに、彼が暴走し激しく求めてくるのは「自分の魅力のせい」であり、その一方で「理性で抑え込んで一途に愛してくれる」という、野性的な欲求と誠実な愛情を同時に叶えてくれる。
これほど女性の矛盾した願望を鮮やかに、そして都合よく解決してくれる設定はなかなかありません。
まぁ私は男なのでこう言う願望はちょっと理解できないんですけどねw
ビジュアルも「耳が生えたイケメン」程度ではなく、しっかり狼の顔をした獣なので、それを見てキュンとできる女性の想像力は、かなり「上級者向け」だと感じます。
見る人を選ぶ作品ではありますが、少し上の少女漫画に挑戦してみたい方には、おススメしたい作品です。
では、良きアニメライフを!