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アニメ批評その1019 葬送のフリーレン

評価:★★★★★(キャラの魅力が天元突破)

概要

山田鐘人(原作)、アベツカサ(作画)による日本の漫画。

『週刊少年サンデー』(小学館)にて、2020年22・23合併号より連載中。

2021年に第14回マンガ大賞および第25回手塚治虫文化賞新生賞を、2023年に第69回小学館漫画賞受賞。

2022年9月にアニメ化が発表され、同年11月に展開媒体がテレビアニメであることが発表された。

2023年9月から2024年3月まで、日本テレビ系列ほかにて連続2クールで放送された。

あらすじ

魔王討伐の偉業を成し遂げ王都に凱旋した勇者ヒンメル、僧侶ハイター、戦士アイゼン、魔法使いフリーレンら勇者パーティー4人は、10年間もの旅路を振り返り感慨にふけっていたが、1000年は軽く生きる長命種のエルフであるフリーレンにとって、その旅はきわめて短いものであった。

そして、50年に一度降るという「半世紀(エーラ)流星」を見た4人は、次回もそれを見る約束を交わしてパーティーを解散する。


それから50年後、すっかり年老いたヒンメルと再会したフリーレンは、ハイターやアイゼンとも連れ立って再び流星群を観賞する。

まもなくヒンメルは亡くなるが、彼の葬儀でフリーレンは自身がヒンメルについて何も知らず、知ろうともしなかったことに気付いて涙する。

その悲しみに困惑したフリーレンは、人間を知るためと魔法収集のために旅に出る。


さらに20年後、フリーレンはもうひとりの仲間であったハイターを訪ねる。

ヒンメルと同じく老い先短い身であったハイターは、魔導書の解読と戦災孤児の少女フェルンを弟子にすることを依頼。

その4年後に魔導書の解読を終えたフリーレンと、一人前の魔法使いに成長したフェルンは、ハイターの最期を看取ったあとに諸国をめぐる旅に出る。

葬送のフリーレン - Wikipediaより抜粋

主人公のフリーレンは長寿のエルフです。

本作はそのフリーレンと勇者一行の物語…
では無く、魔王を倒し、勇者が老いて死んだ後のお話となります。
原作はとても人気があり、第一話から四話までまとめて金曜ロードショーで放送されると聞き、本作の本気度が否応なしに伝わってきました。
制作会社のマッドハウスは、多くの名作を制作している一方でトンデモナイ駄作を生み出してしまう事があるのですが、集めたアニメーターの質や金曜ロードショーでの放送の事を知り「これで失敗したらマッドハウスは終わるだろう」と思わせる様な、背水の陣とも言える体制だった事から個人的に高い注目と期待をしておりました。

想像以上の出来でした。
私と感性の合う方で、本作をまだ未視聴の方はこんな駄文は読まなくても良いので今すぐ葬送のフリーレンをご視聴下さい。
ここまで素晴らしいアニメに仕上がってるとは思ってもみませんでした。
本作の良さについて真面目に語るといつもの記事の10倍くらいのボリュームになりそうなので、出来るだけ簡潔に解説する様心がけさせて頂きますが、それでも結構長くなりそうです^^;

◆原作越え

原作はアニメ放送前からとても高い評価を受けている作品でしたが、バトルシーンが淡泊である点が唯一の欠点として挙げられてました。

アニメ版では欠点と言われたバトルシーンが大幅に強化されており、一番の見どころにまで昇華しております。
鬼滅の刃の様な超絶に凄い作画という訳でも、最新のCG技術を織り交ぜた美しい作画という訳でも無く、手描き感が強く感じられはするのですが、観る者を圧倒する表現方法が用いられております。

勿論原作も素晴らしいので、設定やストーリーがしっかりしているからこそである事を念を押して申し上げておきます。
なんと言うか、原作で描ききれなかった処や、十分に表現出来なかった部分を想像を超える出来で映像化してくれたという感じです。
それに素晴らしいBGMとカメラワークが加われば、海外のアニメファンからも大絶賛を受ける神アニメとなる訳です。

原作で淡泊に描かれているのはバトルシーンだけでは無いのですが、ちょこっとしか描かれていない部分を大きく膨らませたり、アニオリのエピソードも多くの視聴者から大絶賛の嵐でした。

◆演技力について

フリーレンを演じているのは種﨑敦美さんなのですが、種﨑さんといえばSPY×FAMILYのアーニャ役でも有名です。
「え?アーニャ役の人がフリーレンを演じてるの!?」と驚くのは日本人だけでは無く、海外のファンからも驚嘆の声が挙がっております。

そんなフリーレンですが、長寿のエルフなだけあってお姉さん的なムーヴをする事もあれば、

子供みたいな一面もあり、それを上手く演じ分けられる種﨑さんは天才だと思います。

フリーレン以上に表情に変化が少ない弟子のフェルンですが、

アニメでは心の機微が非常に上手く表現されてます。
分かりやすい表情をする事もあるのですが、コチラも演じられている市ノ瀬加那さんの高い演技力による賜物です。
未視聴の方の中には「無表情で愛嬌が無いな?」と思われる方もいらっしゃる様ですが、全くそんな事は無いのでどうかご安心下さい。

◆ストーリーが素晴らしい

面白い→可愛い→カッコいい→感動
これら全てを兼ね備えたアニメがどれだけあるでしょうか?
割合的に見れば極少数となるのですが、本作はこの4つの要素が毎回当たり前の様に訪れます。
アニメあるあるなのですが、バトルモノがお好きな方は「笑いとか可愛いとか、そういったシーンは不要に感じる」とか「感動的なシーンの多くは押し付けがましいから嫌い」という方も一定数存在します。
本作におきましては各要素のバランスが完璧で、そう感じてしまう方も少なからずいらっしゃるとは思いますが「あのシーンは不要だった」といった不満の声は殆ど聞きませんし、笑えるシーンも感動的なシーンも寒いとか押し付けがましいといった風に感じる事はほぼほぼ無いと思います。
笑いも感動も前段階での用意というか導入があると寒く感じてしまう事がありますが、本作は自然な流れでいきなり笑わせてくれたり、感動させられたりします。

特に評価が高いのが回想シーンです。
回想シーンに入れば大体は話のテンポが悪くなるのですが、本作は回想シーンが多めです。
しかし、その回想シーンこそが本作の魅力の一つであり、驚きや笑いを提供してくれる他、痺れる様なカッコ良さを感じる事が多々あります。
私は回想シーンをここまで上手く使いこなすアニメを他に知りません。

◆キャラの魅力が凄まじい

主人公であるフリーレンの魅力は申し上げるまでも無く凄いのですが、本作ほど脇役のレベルが高いアニメも私は他に知りません。
弟子であるフェルンも、可愛さと面白さとカッコ良さと三拍子揃った完璧なヒロインなのですが、そんなフェルンがフリーレンに次いで人気かというとそうでも無いのです。

フリーレンの新たな仲間となる戦士のシュタルクですが、ご覧の様に泣き虫です。
強そうな敵にはビビリ散らかしますし、ちょっとおバカな処も可愛いです。

そんなシュタルクもヤル時はヤル男で、非常に高い戦闘力と胆力の持ち主です。
情けない一面と強い一面と合わせ持つ彼ですが、そのギャップがとても魅力的です。
人に優しく誰からも好かれる性格なのも、ファンが多い一因となっております。

シュタルクの次にフリーレンの仲間になるザインも非常に人気のあるキャラです。
未視聴の方は「まぁ主人公のパーティーメンバーだったら人気があるのも当たり前じゃね?」と思われる事でしょうが、彼がフリーレンと行動を共にする期間の短さを知ったら驚愕する事でしょう。
上記のシーンは度々ネタ画像として使用される事が多い為、物語の重要人物であると誤解している方が多かったりするのですが、全然そんな事は無い役柄です。

長谷川育美さん演じるこのヤベー女も初見時は、
「そんなに可愛くないな?」
「ヤバそうな奴だから敵役としてすぐに退場するだろう」
「腋が叡智過ぎる」
と思われた方が多かったかもですが、気が付けば人気キャラになっておりました。
主人公パーティーでは無いキャラがここまで人気になる事は決して多くはありませんし、笑顔で人殺しする女の子が「可愛い♡」と言われる様になるとは驚きですw

この傲慢そうなお兄さん(こう見えて30代半ば)も見た目に反して物凄い善人で驚きます。
ギャップ萌えするキャラが多い本作ではありますが、悪者っぽいキャラが物凄く優秀で優しい人だと男でも胸がキュンとします。

このお爺さんのギャップも凄過ぎて驚きます。
この風貌で熱い魂と優しさを持ち合わせた優秀な魔法使いだと見抜ける方は、早々いらっしゃらないはずです。

未視聴でもご存じの方が多いアウラ様ですが、人気投票でもフェルン以上の票を獲得する程の人気っぷりです。

実はこのアウラ様が登場していた時間は全て足しても9分足らずです。
そんなチョイ役とも言えるキャラなのに、ここまで高い人気を博しているのはネタでは無く本当にファンから愛されてるからだと思ってたら…

本作の新たなノベライズにアウラ様の前日譚が掲載されるそうですw

◆勇者ヒンメル

先の項目でキャラの魅力について語らせて頂きましたが、中でもフリーレントと共に魔王を討伐した勇者ヒンメルの魅力が形容し難いモノになっております。
「人の心を知る旅」をしているフリーレンですが、度々フリーレンの思い出の中のヒンメルが登場します。
物語の序盤で既に「聖人の中の聖人」と思える様な素晴らしい人物であった事が分かるのですが、従来の良いイメージが都度更新されてゆくのに何度も驚かされました。
既に故人となっている訳ですから新たな伝説が生まれる訳では無いのですが、かつてあった彼の行動や発した言葉の一つ一つが素晴らしく、回想シーンで登場する度に嬉しい気持ちになりました。
ヒンメルの回想シーンはフリーレンの思い出だけでは無く、旅先で出会った様々な人から聞かされる話にも感動させられました。

余りの人気に「勇者ヒンメルならそうしたってことだよ。」という「ヒンメル構文」なるモノが流行りました。
例)「ウマ娘のガチャをめちゃんこ回した。勇者ヒンメルならそうしたって事だよ。」

実用性が高くて使いやすいのがポイントです。

◆タイトルが熱い

タイトルまでしっかり確認して視聴している方がどれだけいるのかは謎ですが、本作はタイトル詐欺が熱いです。
例えば「断頭台のアウラ」というタイトルの回がありまして「魔王軍の大幹部であるアウラ様とフリーレンが戦う回なんだな!?」とワクワクしながら視聴してると見事に裏切られます。
フリーレンが戦うのはアウラ様が使役するアンデッドの兵隊達で、メインの話は弟子たちの闘いです。

「なんだよ前座かよ」とか思ってると予想だにしない超絶に凄いバトルシーンを魅せられますので「次戦となるフリーレンとアウラ様の闘いはきっとこれ以上なんだな!?」と期待感が爆上がりします。

んで、次回が「強い魔法使い」というタイトルで、フリーレンの師匠の話が回想シーンで長々と流れます。
「ここで引き延ばしかよw」と思った方もいらっしゃったかもですが、この回想シーンはフリーレンの強さに直結する話である事が徐々に理解出来、期待感を高めてゆきます。
回想の終盤には壮大なBGMが流れるのですが…
これ以上のネタバレはヤメておきますね^^;

◆面白シーン満載

長寿の割に魔法以外の事には疎いフリーレンが可愛くて面白過ぎます。

宝箱を見つけるとミミックの可能性が99%でも開けずにはいられない性なのが笑えます。

本作の面白シーンは前振りも無く突然やってくる事が多いので、不意を突かれて笑ってしまいますし、さり気ない仕草や言葉遣いで笑いが獲れるのもズルいというか素敵な処だと思います。

◆作画カロリー

作画が良いというイメージが強い本作ですが、実は思ってる程では無かったりします。
重要では無いシーンではかなり手を抜いておりまして、そこを指摘する方もいらっしゃるのですが、それはヤボというモノです。
集英社作品のアニメ、具体例でいえば鬼滅の刃でも無い限り、全てのシーンで高品質な作画を保つのは非常に困難です。
特に本作は連続2クールの全28話ですので、集英社作品でも無いのに無理を言ってはイケません。
私個人の希望としては、アニメの制作本数を今の1/3にしてでも予算や製作時間をもっと多く獲るべきだと思ってるのですが、現実的にすぐにはそうはならないはずです。
そうなりますと限られた予算と時間で如何に良いモノを創るか?という話になりますので「手が抜けそうなシーンで手を抜き、その分のカロリーを魅せるべきシーンに注ぎ込む」というのが理想形となります。
本作はそれが上手に出来ておりますので、割と手抜きなシーンが多いのに「作画が良いアニメ」として評されているのです。
そこまで考えて視聴している方は少なそうですが、重要な事なので言わずにはいられませんでした。

◆魅せ方が天才的

「ありがちな設定だけど見せ方が上手いよね」とよく言われるのですが、確かにその通りです。
一つ一つのエピソードを掻い摘んでみれば大した事は無いのかもしれませんが、それが連続した中弛みを感じさせない隙の無い良作となりますと、ストーリーを構成した原作者の山田鐘人先生の才覚には驚かされるばかりです。
また作画担当のアベツカサ先生もバトルシーンの淡泊さを指摘されてはいますが、キャラデザの素晴らしさに関しては文句の付け様がありません。
魅せ方の話に戻りますが、ストーリー自体は仮に平凡であっても、魅せる角度が他作品と違うという感覚です。
私も本作に似た設定の物語を空想した事がありますが、ここまで面白く話を膨らませる事は出来ませんでした。
誰にでも描けそうなストーリーだけど、実は山田先生にしか描けないといった処でしょうか?
設定に関しても緩い様で重要な部分はしっかりとしており、特に魔族に関する設定が他作品とは一線を画すモノになっております。

これでも一生懸命短くまとめたつもりですが、少し長くなってしまった感があります(すみません)
本作の良さについて浅く解説させて頂きましたが本当に深い作品なので、全てのアニメファンにご覧になって頂きたいですし、本作以外にも★5評価をしたアニメがいくつかありますが、その中でも一つ抜けた存在であるという事も加えて申し上げておきます。

『葬送のフリーレン』本PV/OP:「勇者」YOASOBI ED:「Anytime Anywhere」milet/毎週金曜よる11時放送
放送が終了しフリーレンロスが辛く感じる日々を送っておりますが、強く生きてゆこうと思ってます。
それでは、良きアニメライフをノシ

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