アニメ批評その1052 映画大好きポンポさん
評価:★★★(ナタリー役だけが残念だった)
概要
杉谷庄吾【人間プラモ】による日本の漫画作品。
2017年4月にイラスト投稿サイト「pixiv」に投稿された。
映画プロデューサーのポンポを軸とし、新人映画監督のジーンや新人女優のナタリーの成長を描いている。
第1作以後も「NYALLYWOOD STUDIOS SERIES」と題して続編やスピンオフ作品が制作され、既刊6巻。
「マンガ大賞2018」で10位、「このマンガがすごい! 2018 オトコ編」で17位[3]。pixivでは65万ビューを突破している(2020年2月28日発表時点)。
あらすじ
映画の都「ニャリウッド」にある「ペーターゼンフィルム」で映画をプロデュースしているポンポネット、通称ポンポは、映画のオーディションを受けにきたナタリーを「地味」という理由で落とすが、何か惹かれるものがあったため、若手女優ミスティアの付き人としてナタリーを起用する。
また、ポンポの元でアシスタントとして働くジーンは、ある日ポンポから自身の映画「MARINE」の予告編制作を依頼される。
ポンポは予告編映像の出来や、自身が執筆した新作映画「MEISTER」の脚本に対する反応からジーンのセンスを見出し「MEISTER」の監督をジーンに任せ、ヒロイン役にナタリーを抜擢する。
原作は漫画で、本作は劇場版となります。
この幼女みたいな子がポンポさんで、こう見えて有能な映画プロデューサーです。
原作を知らなかった私はこの子が「ポンポさんが来たぞー!」と登場した時には、ちょっと心配になりましたw
ポンポさんが主人公だと聞いてましたが、本作に至ってはこのアシスタントのジーンがメインの話だとすぐに分かりました。
内容的には経験の浅い若手アシスタントが監督に大抜擢され、苦労しながらも映画を完成させてゆくという思った通りのストーリーでしたが、私の満足度は非常に高いモノでした。
含みのある言い方になってしまいましたが、本作の興行収入は2億円とまぁまぁ厳しい感じで「駄作」とか「つまらない」という感想も多く聞かれます。
今回はこの作品がどの様な内容なのか?という事では無く、何故評判が悪かったのかについて解説させて頂きます。
◆内容は良かったと思う
映画を撮る大変さが分かる素晴らしいアニメだと感じました。
ネタバレになるので詳しい事は申せませんが、ジーン監督が抱える苦悩やポンポさんの好みに深く共感し、これが理解出来ない人には一生良い動画は創れないだろぉなぁ〜と思いました。
アニオリの部分が結構多かった様で「ストーリーが薄くなった」とか「ジーンの性格が原作と違う気がする」といったご意見も聞かれましたが、決められた時間内で完結しなくてはならない劇場版はどうしても原作通りにはいかないモノです。
劇場版では無くTVアニメで放送すれば良かったのかもしれませんが、そうなるとストーリーがより薄まってしまいそうです。
劇場版である以上、盛り上がるシーンが2か所以上は必要で、山→谷→山と起伏をつける必要があります。
スタッフロール含め94分以内でそれを表現する必要がある事を考えますと、一つ一つのシーンに然程時間が取れないので、原作ファンからすると納得のいかない部分があるのだと思います。
比較的アニメを厳しい目で観てしまう私が満足出来た事を考えますと、100点満点では無いにせよ、酷評されるほど酷い出来だとは思えません。
◆キャストが悪い
主人公ともいえるジーン役はアニメ初出演の俳優さんですが、演技力につきましては特に不満はありません。
問題は主人公並みに重要なキャラであるナタリー役です。
ジーン役の清水尋也さんとは異なり、ナタリー役の大谷凜香さんはアニメ初出演では無いモノの、素人に毛が生えた程度の実績しか無い女優さんです。
素人声優が重要キャラを演じる事は劇場版アニメによくある悪しき習慣ですが、これが主要キャラ2名となると流石に冒険し過ぎです。
ナタリーの声は聴いた瞬間に素人だと分かるレベルで、彼女の演技で本作の評価が2段階ぐらい落ちた感があります。
オリジナルストーリーという訳ではありませんし、別に劇場版に拘らずにTV版でまともな声優を起用した方が良かったのでは無いか?
そもそも何故劇場アニメは素人声優の起用率が高いのか?などの疑問は尽きませんが、私の中では戦犯は大谷さんのイモ演技だと断定しております。
実写と違ってアニメでクソみたいな演技をしてしまうと、仮にその後成長してまともな演技な出来る様になったとしても暫くは「クソみたいな演技をしていた人」というレッテルを剥がす事は出来ないと思った方が良いです。
他の声優さんは実力のある方ばかりなだけに、非常に残念です。
◆総評
SHIROBAKO系のお仕事アニメがお好きな方ならお楽しみ頂けると思いますし、TV版が面白かったアニメでも劇場化は失敗作が多い中で、高い満足度を与えてくれた本作は名作の部類に入ると思います。
しかしテーマが比較的地味めだという事と、興行収入の少なさも含め人を選ぶアニメであると見るべきで、素人のイモ演技で台無しになっている事も鑑みますと若干甘めの評価で★3が妥当だと思いました。
TVアニメとして放送すれば、円盤3000枚程度は売れたんじゃないかと思います。
それでは、良きアニメライフをノシ