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【echoさん】砂時計【番外編】

水曜日はいつもechoさんによるアニメレビューの日ですが、今回は番外編という事で少女漫画のレビューとなります。

砂時計 ★★★(生と死に向き合う少女の半生を描く恋愛大河ドラマ)

概要

砂時計は『Betsucomi』(小学館)で2003年から2006年まで連載された少女漫画。

作者は「セクシー田中さん」の著者・芦原妃名子さん。

2008年3月時点で累計発行部数は700万部を突破。

2007年にテレビドラマ化、2008年に小説化・映画化されている。

芦原妃名子さんの代表作

あらすじ

両親の離婚を機に母親の実家・島根に越してきた12歳の杏。

その矢先に母が自殺し、杏は母の遺影に母に買って貰った砂時計を投げつけた。

そんな杏に近所に住む大悟は、彼女が壊した物と同じ砂時計を贈り…。

母の自殺を引きずり続ける杏と、彼女の生きる支えであろうとする大悟の、現在、過去、未来をつなぐ、14年間の一途な恋の軌跡。

今回は番外編で少女漫画について書かせて頂きました。
許可を頂いたマイセンさんありがとうございます。

「セクシー田中さん」の原作者・芦原妃名子先生の少女漫画です。
大変失礼ながら、私はセクシー田中さん問題で注目される前は、全く認識していなかった作品です。
今回の事件をきっかけに、どのような作品を描かれていた作家さんなんだろうと興味を持ち、TUTAYAの漫画レンタルで全巻レンタルをして読ませていただきました。

主人公は両親の離婚をきっかけに、東京から母親の実家がある島根に引っ越してきた12歳の少女「植草杏」。
母親の美和子は繊細で他人気持ちに敏感であるが人目を引く美人で、田舎特有の人間関係に嫌気がさして東京の男性と恋に落ち東京で暮らしていました。
夫の事業の失敗から共働きになり、頑張り過ぎて心を病んでしまった美和子は離婚をして島根の実家に戻ってきます。
実家に戻り、シングルマザーとして働きながらしばらく生活していましたが、周りからは東京で失敗して帰って来た上昇志向の強い女性として冷やかな視線を向けられ、実の母親から「しっかりしろ」と励まされているうちに疲れ果て、ついに自ら死を選んでしまいます。
杏も母親に「頑張って」と励ましてしまった事が、美和子を追いこんでしまったのではないかと自分責めます。

島根の同級生、北村大悟と月島藤との交流によって段々と自分を取り戻していく杏は、やがて大悟と恋におちて幸せな日々を過ごしますが…。
順風満帆にすごしながらも、いつも心のどこかに引っかかる母親を失ったという記憶が杏を苦しめます。
12歳から26歳まで主人公・杏の半生と恋愛を描く、非常に繊細でドラマチックな作品でした。

私は女性作家の作品を読むといつも感心するのですが、芦原妃名子先生も同様で、心情描写が巧みで共感性が高くキャラクターに感情移入してしまう所があります。
主人公の杏は良い子で大悟という寄り添ってくれるパートナーもいながら、どこか空虚でふとした一瞬で闇に引き込まれてしまう危いキャラクターに、共感しながらもハラハラしてしまい一気に読まされてしまいました。
この作品を読みながら、芦原先生もそんな一瞬に魔がさしてしまったのかなと考えると残念でなりません。

ちょっと重い作品ですし、好き嫌いも分かれる作品ですが、ドラマ化、映画化もされた芦原先生の代表作です。
全10巻(文庫版は5巻)と読みやすい分量なので、この機会にぜひ読んで頂ければと思います。
芦原妃名子先生の御冥福をお祈りします。

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