アニメ批評その1294 この音とまれ!
作者のアミュー先生は、お母さまが箏教室の主宰者で、姉がプロの箏曲家という一家に生まれ、ご自身も3歳から箏に触れていたそうです。
一方で小学生のときに漫画家を志し、本作が誕生したという訳です。
今日は水曜日なので、レビュアーはechoさんです。
評価:★★★(丁寧な人間ドラマが光る良作)
概要
『この音とまれ!』は、ジャンプスクエアで連載中の漫画を原作としたアニメです。
和楽器の一つ・箏をテーマにしています。
作中には古典曲から本作オリジナルの曲まで多種多様な箏曲が登場しており、作中に登場する箏曲を収録したCDは文化庁芸術祭優秀賞を受賞しています。
アニメーション制作はプラチナビジョン。
TOKYO MXほかにて2019年4月から分割2クールで放送されました。
あらすじ
新学期、時瀬高校2年の倉田武蔵は、先輩から託された廃部寸前の箏曲部を守ろうと、一人必死に頑張っていました。
しかし部室は不良たちに荒らされ、新入部員の勧誘もままなりません。
そんな時、警察沙汰を起こし恐れられている新入生・久遠愛が部室に乗り込んできます。
さらに箏曲部に入ると言い出して──。
警察沙汰の事件の真相、愛と箏の絆とは。そして、それを知った武蔵は…!?
『この音とまれ!』は、箏(こと)をテーマにした青春群像劇で、箏曲部を舞台に部員たちの人間ドラマが描かれる作品です。
主人公は、3年生の卒業により一人箏曲部を託され残った倉田武蔵。
部室を不良たちに乗っ取られ、勧誘もままならない中、中学生時代に警察沙汰を起こした久遠愛が入部を申し込みます。
暴力事件を起こした過去を持つ愛に最初は反発する武蔵ですが、愛の真剣さに心を打たれ、新生箏曲部が動き出します。
その後も、箏の名家出身ながら破門された過去を持つ「とわさ」
“サークルクラッシャー気質の妃呂(ひろ)など、一癖も二癖もある面々が箏を通して信頼関係を築き、全国大会を目指す王道ストーリーとなっています。
私が特に好きなキャラは、妃呂(ひろ)です。
一見普通の可愛い女の子に見えるのに、さりげなく部員たちの人間関係を操作してぎくしゃくさせる、いわゆる“サークルクラッシャー”です。
過去に自分がコミュニティから外された経験があり、部員たちの様子を密かに試す心理も見え隠れします。
しかし、ただの悪役ではなく、物語を通して心を開くと、思わず応援したくなる可愛らしい一面も見せるキャラクターで、微妙なツンデレ感が作品の魅力を増しています。
人間ドラマは典型的なヤンキーが登場したり、人間関係を乱すキャラがいたりとやや露悪的ではありますが、キャラクターの成長や変化に自然と感情移入してしまいます。
制作はプラチナビジョンで、正直、それほど作画は良くありません。
ただメインは人間ドラマと箏の演奏なので、それほど気にならないと思います。
特に演奏シーンは派手な演出こそないものの、箏の音が生む雰囲気や空気感をしっかり描写しており、感情の機微が音に乗る瞬間は見どころです。
丁寧に人間ドラマを積み上げる青春ストーリーですので、音楽アニメ・部活アニメが好きな人にはおすすめです。
では、良きアニメライフを!