アニメ批評その606 スーパーカブ
評価:★★★(ドビュッシーのBGMが良い)
概要
『スーパーカブ』は、トネ・コーケン原作による小説を基にした日本のメディアミックス作品である。
山梨県北杜市(旧武川村地域)を舞台に、何にも興味を持たない没個性的なひとりの少女が一台のホンダ・スーパーカブ50と出会い、スーパーカブとの関わりを通じて成長しながら、自分の世界を広げていく様子を描いた物語。
公式サイトや販促ポスターでは『ホンダ・スーパーカブ総生産1億台記念作品』と銘打っている。
2021年4月から6月までAT-Xほかにてテレビアニメ版が放送された。
あらすじ
両親も趣味も友達もない、何もない少女、小熊。
小熊は高校に通うために自転車を使っていたが、通学路が坂道であったことからある日原付が気になり、学校帰りに寄ったバイク屋で運転免許も無いまま、いわく付きのスーパーカブ50を破格値で入手する。
ガス欠や自転車では出せないスピードなど、カブは小熊にさまざまな未知の経験をさせながら、安穏としているが何もなかった小熊の生活にゆっくりと、しかし確実に変化を与え、小熊もカブに乗ることに楽しさを感じるようになる。
そんな小熊の前に、自分もカブに乗っているという少女・礼子が現れ、以降行動を共にする。
女子高生がスーパーカブに乗るアニメです。
雨の辛さを知ったり
経済的な事情に寄り欲しいモノが買えなかったり
頑張ってバイトをして稼いだり
カブの整備をしたりとばくおん!!と比較するとかなり現実的な作品といえます。
↑の小熊ちゃんが主人公で他に主な登場人物としましては、
ちょっと頭がおかしい礼子ちゃんと
天使の様な可愛さを持つ椎ちゃんです。
・この作品のイイ所
登場人物達が可愛いとかカブの良さがわかるというのもありますが、何と言っても背景と音楽の良さだと思います。
あと「音」がいいです。
音の拘りがとにかく凄くて、作画面も含めて本当に丁寧に創り込まれていると思います。
・微妙と言われている点
「地味過ぎてつまらない」
「過大評価でストーリー自体はそんなに面白くない」
「声優が下手」
と言われてます。
地味という点は否定できませんが、雰囲気を楽しむ作品なので好みは分かれそうです。
個人的には好きなジャンルでは無いのですが、それでも楽しめたのはクォリティーの高さのおかげだと思ってます。
ストーリーに関しては、現実的な作風な点を考えるとアレ以上を求めるのは厳しいかな?と思います。
声優さんの演技に関しては、主人公の小熊ちゃんを指しての事だと思いますが、無口な子の役なのでアレは仕方ないかな?と思います。
無口で感情を表に出さない小熊ちゃんですが、カブ愛が強く、行動力の権化である点は好感が持てました。
派手な演出やストーリーがお好きな方には向かない作品かもしれませんが、良作である事は間違いありません。
・二人乗りについて
小熊ちゃんが自分のカブに礼子ちゃんを乗せて二人乗りをする場面があるのですが「違反行為ではないか」という指摘があり炎上しました。
アニメ製作のKADOKAWAは「キャラクター性を重視したストーリーの展開上、必要と判断した上での演出であり、公序良俗や法律に反する意図は全くない。あくまでも創作された現実ではない夢のある楽しい物語=フィクションとして楽しんで欲しい」とコメントしましたが、そのような形で指摘を取り上げ制作意図を紹介したニュースサイトの検証記事を発端に、ネット上ではフィクションの登場人物による違反行為と現実に当てはめることの是非を巡って、批判意見と擁護意見が入り乱れる賛否両論の炎上騒動のような事態になり、テレビ番組のワイドショーでも一連の騒動が紹介される事態にまで発展しました。
実写のドラマや映画でも「違反行為」はよくある事ですし、ましてやアニメなのにそこまで厳しく言うのはどうなの?と私は思います。
現実と創作物の違いがわからない方は可哀そうな目でしか見られません。
異性を辱めたり殺したり盗んだり騙したりする作品が溢れる中、二人乗りくらいいいじゃないですか。
「現実でマネする奴がいたらどうするんだ!?」という質問には「免許取る時にそういった知識は学ぶでしょ!」とお応えしておきます。
車を盗んでカーチェイスをする作品に対して「車を盗む奴がいたら」とか「交通ルールを守らずに運転を」とか言わないクセに、アニメだとしゃしゃって来るのはどうかと思います。
話が反れましたが、とてもいい作品なので是非ご覧になって下さい。
それでは、良きアニメライフをノシ