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【名馬列伝】サイレンススズカ【異次元の逃亡者】

「最速の機能美」の設定を盛り込む為に、胸を削られてしまったスズカさんの原作解説となります。
実績としてはG1勝利は1勝止まりだった割に「ディープインパクト並みの強さがあったかもしれない」と言われていたスズカさんです。
それではイキます。

◆生い立ち

父はサンデーサイレンスです。
強いサンデーサイレンス産駒と言えば「走る馬といえば黒い馬」というイメージが強かったのですが、スズカは「小さくて、華奢で、可愛い」といった感じで、綺麗な栗毛で立った時のバランスは良かったモノの関係者の間では「あまり期待出来ないなぁ」という評価だったそうです。
2歳の10月に二風谷の二風谷軽種馬育成センターに移動して育成調教を開始。
育成を担当した若林幹夫氏は本馬を一目見た時に「こんなに小さくて競走馬になれるのかな」と不安を抱きましたが、若林氏はスズカの他馬とのスピードの違い、また馬と馬の間を割って追い抜くトレーニングを課しても一回でクリアしてしまった本馬の能力に驚かされたそうです。
冬に雪が深く積もっている所へ敢えて馬を浸からせて行うトレーニングにおいても、スズカはお腹のあたりまで雪に埋まっていても平気で進もうとしていたため、これで二風谷のスタッフの注目を集め、若林氏は「本当にすごい馬だな」と感じたとの事でした。

◆デビュー直後

デビュー戦は調教での動きが良かったため単勝オッズは1.3倍での一番人気で7馬身差で圧勝。
「何とか皐月賞に出走させたい」
というスタッフの想いから皐月賞トライアルの弥生賞に出走します。
2戦目なのに2番人気で、陣営も自信満々でしたが・・・

スタート前に騎手を振り落としてゲートを潜ってしまいます。
その後再スタートとなりますが、大きく出遅れる事となり8着と惨敗してしまいます。
ゲートを潜ってしまった理由はハッキリとしておりませんが「厩務員がいなくなって寂しくなって出ちゃったのでは?」という説が最有力な様です。
その後は500万下の条件戦を勝利し、OP戦ではマチカネフクキタルと激しいデッドヒートの末に勝利し、日本ダービーへと駒を勧めます。

◆ダービー出走

「ダービーの大歓声に興奮しない様に」という配慮から、緑色のメンコを着用して出走する事になりました。
スズカさんといえば緑ですよね。
レースは4番人気ながらも「押さえてイク競馬」が裏目に出てしまいます。
押さえようとする掛かり気味になるスズカ、そして終盤前が塞がれて馬群に呑まれておしまいという残念な結果となります(9着)
次戦はGⅡの神戸新聞杯で1番人気で勝てそうなレースでしたが、油断した処をマチカネフクキタルに差され2着。
鞍上の上村騎手は自身のミスを認め、スズカから降りる事を決意します。

◆スランプに陥るスズカ

神戸新聞杯の後は予定通り天皇賞秋に進みますが、暴走気味に掛かり捲った結果6着と敗退。
暴走した割に酷い負け方をしなかったため、ある意味能力の高さを示せたとも言えますが、続くマイルCSではレース中に鞍ズレを起こして大失速し15着と大敗してしまいます。

ちなみにマイルCSの前にスズカの旋回癖を治そうと天井から畳を吊るして回れないようにした結果、めちゃんこストレスが貯まってキレやすくなっていた様です。
天皇賞の時も調教の段階で暴走する事が多かったので「大人しいと思いきや気性難」という事が発覚しております。
連敗続きのスズカですが、鞍上が武豊騎手に代わり香港国際C(G2)に出走します。
「ジョッキーは騎乗依頼が来るのをじっと待つしかない」
とおっしゃっていた武騎手ですが、スズカには直訴して騎乗を獲りつけます。
結果は逃げた末に5着という結果でしたが、武騎手は「今日は負けたけれども、この馬には押さえない競馬が向いている」と調教師に進言し、コンビ続行を熱望したそうです。
これまで重賞の掲示板には一度しか乗ってないスズカでしたが、武騎手は確かな能力を感じていたのかもしれません。

◆シニア期

シニア期初戦はOP戦でしたが、関西を拠点とする武騎手がOP戦のためだけに東上したという事もあり、単勝オッズ1.5倍の1番人気に推されます。
ハイペースの逃げから2着に4馬身差で圧勝。
続く中山記念では2番手に10馬身以上の差を付けた大逃げを打ち、重賞初制覇を成し遂げます。
馬場状態が悪かった事もありますが、右回りが逃げてかもしれないという弱点を露呈しておりますが勝ったのでヨシ!です。
小倉大賞典はレコードタイムを叩き出し勝利します。

◆異次元の走り

小倉大賞典の勝利により「え?強くね?」と思われた競馬ファンも多かったと思います。
実はこの頃の私は好きな競走馬が怪我し捲ってたせいで、競馬を観るのが嫌になってた時期でした。
G1レースは観戦する事が多かったのですが、GⅡやGⅢのレースまでは観ない事が多かった私ですが友人から「サイレンススズカめっちゃ強いから金鯱賞は絶対に観た方がいい」と言われ、渋々観戦する事にしました。

開幕スッと先頭に立ち、向こう正面でグングン後続を引き離し、4コーナーをカーブしても失速せずそのままゴール。
予想以上の強さに震えました。
私の知ってるスズカは能力があると言われながらもG1ではイイ処無しの微妙な馬というイメージだったのですが「何だこの強さは!?」とただただ驚くばかりでした。


金鯱賞後は最大目標である天皇賞秋への出走予定・・・のはずでしたが、ファン投票で6位に支持されたため宝塚記念に出走する事になります。

第3コーナー手前では後続に8馬身の差をつけての逃げで、そのまま押し切りG1初制覇を成し遂げます。
「これは本物だ」
そう確信した私はすっかりスズカの虜となっておりました。

◆伝説の毎日王冠

GII競走ながら東京競馬場には13万3461人の観衆が詰めかけた伝説の毎日王冠です。

アニメのウマ娘ではネイチャさんやフラッシュさんが出走してますが、実際はしてません。
「マルゼンスキーの再来」と呼ばれた無敗の3歳王者であるグラスワンダー
NHKマイルカップを優勝しているこれまた無敗のエルコンドルパサーをスズカが迎え撃つ図式です。
59kgというトップハンデを背負っていたスズカでしたが、当然の様に1番人気となりレースを引っ張ります。
スタートが切られるとスズカは前半600メートルを34秒6、1000メートルを57秒7というハイペースで飛ばし

第3,4コーナーでスズカは一度1ハロン11秒7から12秒1に落として息を入れたため、全くバテる事がありませんでした。

エル「え?バテないの?」

上がり3ハロンで記録した35秒1というタイムは出走メンバー中最速だったエルコンドルパサーの35秒0と僅かコンマ1秒差という驚異的なモノでした。
「逃げで差す」を体現した完璧なレース運びで、2着のエルに2.1/2差を付けて勝利したスズカでしたが、エルは3着に5馬身差もつけております。
「この時のスズカにマイル〜中距離で勝てる馬はいないだろう」というのが多くの競馬ファンの共通認識だったと思います。

◆沈黙の日曜日

この年の最大の目標として定めていた天皇賞秋では、単勝オッズは1.2倍と圧倒的な一番人気に支持されます。
「過去最大の出来」という好調具合で「スズカが勝つかどうか?」ではなく「どの様な競馬をしてスズカが勝つか?」が注目されたレースでした。

スズカは好スタートを切り、2ハロン目から加速して後続を突き放すと、毎日王冠を上回る1000m57秒4の超ハイペースで大逃げをうちます。
競りかける馬は1頭もおらず3コーナー手前では2番手に10馬身、更にそこから3番手までが5馬身と後続を大きく引き離し、誰しもがスズカの勝利を疑わなかったのでは無いでしょうか。

しかし、4コーナーの手前で突然の失速。
左前脚の手根骨粉砕骨折を発症し、競走を中止→予後不良と診断され安楽死の処置がとられます。

◆ショックだった豊さん

予後不良となる程の怪我を負ったスズカですが、必死に転ばずに武騎手をレース外まで運んだため、後続の馬と衝突せず武騎手も大けがをせずに済みました。
レースの後、武騎手は呑めないワインを泣きながら溺飲し、生まれて初めて泥酔したそうです。
同レースで騎乗した福永祐一騎手も「あれだけ落ち込んだ豊さんを見た事はない」と証言するほどでした。
後に武騎手はこの時の出来事について「なかなかいない。あのトップスピードで、あれだけの骨折をして転倒しない馬は。僕を守ってくれたのかなと思いましたね。今でもすごくよく、サイレンススズカのことを思い出すんですよ。せめてあと数百メートル、走らせてやりたかったな。うん、すごい残念。今でも悔しいですもん」とコメントしてます。

◆私もショックだった

好きな競走馬が故障し捲ってたせいで競馬が嫌いになりかけていた私でしたが、スズカのおかげで再び競馬に向き合えました。
なのにあの事故です。
スズカが勝つかどうか?では無く、何馬身差つけて勝ってくれるのかを期待して観てたのに、あの痛ましい事故を目の当たりにしてブルボンが菊花賞で負けた時以上のショックを受けた私です。
あの時は一つ下の世代(スペちゃん達)が盛り上がってて、後にエルが海外挑戦をしてくれたおかげで私の競馬に対するモチベはギリギリ保つ事が出来ましたが、私の競馬人生(?)において最もショッキングが出来事であったのは間違いありませんでした。

◆ウマ娘に救われた

アニメのウマ娘でもこのエピソードはあるんだろぉなぁ・・・と思ってました。
まぁアニメなのでスズカが死ぬ事は無いとわかっていてもトラウマが蘇りそうで、身構えていた私です。
案の定故障が発生したスズカさんでしたが、

そこにスペちゃんが駆けつけて大事に至らなかったのが本当に嬉しかったです。
原作を捻じ曲げたご都合展開とも言えますが、これでいいんです。
誰もスズカさんの不幸なんて願ってませんから。

怪我から復帰してレースに出るまでヤってくれたのは本当に嬉しかったし、

可愛らしい噛ませ犬まで用意してくれて、

出遅れたのに最後方から直線一気で勝つという展開で、皆から祝福されるという最高の演出を魅せられてウマ娘というコンテンツが好きになりました。
ウマ娘に対する私の印象は「何だコレ?」だったのですが、アニメのウマ娘が面白過ぎてアプリのリリースを待ち望む様になりました。
まさかここから3年も待たされるとはw

◆スズカの評価

海外で実績を挙げたエルコンドルパサーに日本の競走馬の中で唯一勝利したのがスズカです。
エルが活躍すればするほどスズカの評価が高まりました。
武豊騎手も「オグリキャップやディープインパクト並みの凄さを感じた」と語っており、ディープとの比較についても「どちらが勝つかはわかりませんが、ディープインパクトにとって、サイレンススズカが最も負かしにくいタイプであるとは言えるでしょうね」と述べてます。
更に武騎手は「この馬は現時点では世界一だ」「全盛期のナリタブライアンやトウカイテイオーが出てきても負けなそう」とも語ってます。
宝塚記念で武騎手の代役で騎乗した南井騎手も「この馬の能力はナリタブライアンに匹敵する」とおっしゃってます。
「ファンを魅了する馬だった」
「久々に表れた、ケタ違いに強い馬だった」
「競馬界の宝の損失」
多くの競馬関係者がスズカの高い能力を評価し、その死を悼みました。
予後不良になった馬の事を悪く言う方は少ないのですが、それにしてもG1を1勝しかしていない競走馬がここまで高い評価を受ける事は過去に前例がありませんし、今でも無いと思います。

海外で活躍する姿やスズカの子供達も見たかった私ですが、それは叶わぬ夢です。
今はウマ娘のスズカさんがおりますので、大分救われた感はあります。

胸部のサイズは救いがありませんが、これからも可憐なスズカさんを応援してイキたいと思います。
それでは、良きウマ娘ライフをノシ

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