アニメ批評その919 彼女と彼女の猫 -Everything Flows-
評価:★★★(新海誠監督の良さがわかる)
概要
1999年の初夏から初冬にかけて新海が日本ファルコムに勤めながら作った作品であり、完全に個人で制作された5分弱のモノクロアニメーション作品である。
生活していくことの漠然とした寂しさ・微かな痛み・ささやかな温もりなど、言葉では伝えにくい感情を映像と音に託した作品で、心の琴線に触れるそのプロット構成や、全編モノトーンながらも緻密に描かれた作画やカット割の良い演出などは、従来の自主制作アニメーションのクオリティーを遥かに超え、高く評価されている。
また音楽は天門が手がけており、これが新海のアニメーションの魅力を引き出すことに成功している。
これらの画面描写や演出技法、天門との音楽性の一致などは、後の新海作品のまさに原点となっている。
編集の違いにより、フルバージョン・3分版・ダイジェスト版の3つのバージョンが存在する。
後に制作・販売された『ほしのこえ』のDVD版にも映像特典として収録された。
2016年3月に、新たな制作陣によるオリジナルストーリーのテレビアニメが放映された。
ストーリー
都会で一人暮らしをする彼女と、偶然彼女に拾われた一匹の猫の物語。
ある日、彼女の留守電に彼からのメッセージが入る。
モノクロアニメーション版にも良さがあるのですが、
今回ご紹介するのは2016年に放送されたTV版の方です。
登場人物は猫を含めても4名の全4話です。
本作をオススメしたい理由は3つありまして、就職活動に追われている短大生役の「彼女」を演じているのが花澤香菜さんです。
花澤さんのファンの中には「短編アニメなので観なくてヨシ!」とお思いの方もいらっしゃるかもですが、ファンを納得させる素晴らしいアニメーションなので是非ご覧になって頂きたいです。
もう一つは猫です。
猫が出てくるアニメはたくさんありますが、猫メインのアニメはそんなに多くはありません。
猫が嫌いな方は少ないと思いますし、特に猫好きの方は是非ご視聴なさって下さい。
3つ目の理由は、新海誠監督が原案、原作、監督を務められている点です。
新海さんと言えば君の名は。や「秒速5センチメートル」「天気の子」など数々の名作を手掛けた天才監督です。
新海誠作品を全くご存じ無い方に「新海誠作品ってどんなん?」と聞かれた時に、本作を紹介するのは効果的だと思います。
映画と違って短時間で視聴可能(1話辺り7分50秒×全4話)ですし、この作品を観て「つまらない」という感想だったら他の新海誠作品を観ても楽しめない可能性が高いと思われます。
映画の様な大きな感動はありませんが、胸に刺さるモノがあります。
迫力のある演出や音楽は大好きですが、こういった作品に心を動かされなくなったらアニメのレビュアーも引退かな?とも感じました。
感受性を殺さない様に、毎日元気に過ごしたいと思う今日この頃です。
それでは、良きアニメライフをノシ