アニメ批評その1100 シドニアの騎士
評価:★★★★(触手萌え)
概要
弐瓶勉による日本の漫画作品。
『月刊アフタヌーン』(講談社)にて2009年6月号から2015年11月号まで連載。
アニメ版第一期が2014年4月から6月まで放送され、第二期『第九惑星戦役』が2015年4月から6月まで放送された。
2015年に第39回講談社漫画賞・一般部門を、2016年に第47回星雲賞コミック部門をそれぞれ受賞している。
綿密な世界観設定、過剰な起伏を抑えた感情表現、複雑に入り組んだ巨大構造物、スターシステム的な名前など、作者の要素が継承されている。
SF漫画であり、「ロボット」「ラブコメ要素」など新機軸を盛り込んだ王道的な構成。
弐瓶を尊敬する諫山創も「今までそんな引き出しは持っていらっしゃらないと思っていたのに、非常に質の高いラブコメ」「ラブコメ的日常と、それが明日なくなるかもしれない緊張感とのバランスが絶妙」と評する。
あらすじ
奇居子(ガウナ)と呼ばれる対話不能の宇宙生命体に地球を破壊され、僅かに生き延びた人間は、小惑星ほどもある世代宇宙船を建造して太陽系を脱出した。
播種船(はしゅせん)シドニアはその一つで、地球に代わる惑星を求めて1000年もの長きにわたり宇宙を旅してきた。
だが現在、シドニアはガウナが頻出する宙域に孤立し、存続が危ぶまれている。
配管が複雑に入り組み、誰も近づかないシドニアの基底部では、谷風長道(たにかぜ ながて)が祖父のヒロキと二人きりで、世間から隠れて暮らしていた。
ヒロキは長道に対ガウナ兵器・衛人(もりと)の操縦を教え込み、衛人仮象訓練装置での長道の成績はいまやヒロキを上回っている。
しかしあるときヒロキが死亡し、残された長道は遺言に背いて地上へと彷徨い出る。
食料工場で米を盗んでいるところをシドニアの船員に見つかり、身柄を拘束された長道は、自分には船員としての登録記録が存在しない事、ヒロキは17年前に死亡扱いになった人物である事を知らされる。
そこに落合と名乗る男が現れ、長道を身元引受人となる、シドニア艦長・軍総司令の小林のもとへ連れていく。
小林は長道に外の世界を見せ、シドニア存続のために力を貸してほしいと頼む。
その申し出を受け入れた長道は、ただちに衛人操縦士訓練生に抜擢され、百年前の戦争で無名の撃墜王が搭乗した一七式衛人・継衛(つぐもり)を与えられる。
時を同じくしてガウナの巣・大衆合船(しゅがふせん)が厳戒宙域に出現、小林はガウナとの戦争を宣言する。
上記のあらすじに記載した通り「奇居子(ガウナ)」とか播種船(はしゅせん)等の小難しい単語が出てきますし、フルCGアニメなので苦手な方も多そうです。
しかもSFなので、より難解なイメージを持たれる事でしょう。
本作の内容をざっくりとご説明しますと、謎の生命体とロボが戦う物語にラブコメ要素をぶっこんだ感じです。
序盤は理解出来ない部分があっても雰囲気で視聴していれば、中盤に差し掛かるまでには何となくご理解出来るはずです。
主人公の谷風くんは人里離れた地下で育ったため、色々と常識がありません。
この世界の人々は光合成が出来る為、かなり小食になっているのに対し、光合成が出来ない谷風くんは日に三食の食事が必要だったりします。
ロボの操縦がお上手な処や恋愛に関して鈍感な処、悪を憎み仲間を想う心など主人公としての純度が非常に高い男の子です。
この世界で生きる人間に必要不可欠なモノが先に書いた光合成です。
食糧問題を解決する事が出来た画期的な進化なのですが、光合成は裸になってするのが効率的によい為、ナンパの決まり文句が「俺と一緒に光合成しないか?」なのが笑えます。
序盤に戸惑う要素No.1だと思うのがこの子達です。
「同じ顔した女の子が大量にいるのですが、これは手抜きなのか作画ミスなのか!?」と思われる事でしょうが、これはクローンの仄シリーズちゃん達です。
めちゃんこいっぱいいるので、全員を覚える必要はありません。
覚えた処で後に15人追加されますw
◆ロボがカッコいい
ロボが出て来るSFなので、これがカッコ悪いとかなり厳しいのですが、普通にカッコいいです。
専用機みたいな機体は数が少なく、イメージ的にはマクロスの様な量産期ばかりなのですが、本作は他の作品と決定的に異なる設定があります。
それは「掌位」です。
ロボ同士がお手々を繋いで飛行すると速度が上がるという設定で、簡易的な合体の様なモノです。
これがとてもカッコよく、2体でも結構速くなるのに、
その数が増えれば増える程、速度が上がってイキます。
CGのアニメを馬鹿にしている方も、コレを観れば価値観が変わるかもしれません。
敵味方共に数の暴力で押す作戦が多く、銀河英雄伝説とかがお好きな方は「ぉおお!!?」ってなると思います。
人間同士も互いの無事を祈って出撃前に「掌位」する事があるのですが、これがとてもイイんです。
多分観ないとわからんと思うけど、イイんです。
◆ラブコメ要素
本作は主人公の谷風くんを三人の女子が獲りあうという、ラブコメ要素強めの作品です。
↑はその一人である星白ちゃんです。
先に申し上げておきますと、すごくすごい可愛い女の子です。
彼女を好きになるときっと性癖が歪みますが、推したくなる存在です。
二人目にご紹介するのはイザナくんです。
「全然可愛く無いし、くんって男でしょ??」
まぁまぁ落ち着いて聞いて下さい。
彼は谷風くんに恋をして女の子になります。
意味がわからんと思いますが、未来の話なので特に驚く様な事ではありません。
この子も推したくなる程の可愛さといじらしさがありますが、好きになると性癖が歪みます。お婆ちゃんがウマ娘のエイシンフラッシュに似ている気がする
三人目は纈(ゆはた)ちゃんです。
エースパイロットであるお兄さんは序盤にご活躍されます。
非常に優秀な軍人でありながら、プラモが大好きというギャップ萌えで攻めて来るあざとい子ですが、この子も好きになると性癖が歪みます。
本作のラブコメ要素は一般的な作品とは大きく異なりまして、少しネタバレをさせて頂きますと「人外との恋」がテーマとなっております。
ロボやSF要素だけでも良作だと思うのですが、ここに他作品には無いスパイスを加える事により名作になったと言っても過言ではありません。
◆他の登場人物も魅力的
こちらが艦長の小林さんです。
なんかお面を被ってますが、茶目っ気のある優しい方です。
食堂にはクマがいます。
たまに野生に帰ります。
櫻井孝宏さん演じる海苔夫くんです。
谷風くんのライバルとして登場し、最後の最後まで魅せてくれる素晴らしい男です。
ちなみに妹の名前は海蘊なのですが、原作者・弐瓶勉氏によると「海苔夫、海蘊という名前にはシドニアでは失われた海藻を栽培する技術への憧憬が込められたもので、決してギャグではない」との事です。
他にもパイロットやメカニックの方々に味わい深いキャラが多く、全員はご紹介出来ない事を残念に思います。
◆めっちゃSFしてる感じが良い
良いSFかどうかは設定やストーリー、戦闘シーンのクォリティーとかを含めて評価しなくてはなりませんが、こういったSFチックなシーンにもかなり力が入ってる処が好きです。
本作はフルCGという点を除けば、設定&ストーリー&戦闘シーンのクォリティーは最上級です。
CGの出来も2期に以降はかなり向上していますし、それ以前に視聴し続ければきっと慣れますので問題ありません。
angela 「シドニア」 | シドニアの騎士 | オープニング
テクノ軍歌と呼ばれてますが、このカッコいいOPをご覧になれば視聴意欲もきっと増す事でしょう。
2期のOPも素晴らしいのですが、ネタバレになるので貼らないでおきますね。
CGアニメの中では異例とも言える高い売上を出してますし、劇場版もあります。
劇場版は二つあるのですが、最初の方はただの総集編なので観なくて良いです。
2021年に公開された「あいつむぐほし」はアニメ版の10年後の世界を描いておりまして、本作の完結(といえる)物語です。
劇場版の評価については後日別の記事でご紹介させて頂きますが、私は素晴らしい作品だと思いました(賛否両論の様です)
ソシャゲの方は早々にサ終してしまいましたが、様々な動画で取り扱われる程に酷い出来でした。
何故あの様な駄作が生まれてしまったのか・・・?
アニメの方はCGが苦手な方も含めてオススメさせて頂きます。
本当に熱くて切なくなる素晴らしい作品です。
谷風くんがおにぎりで飯テロしてきますが、是非ご覧になって下さい。
それでは、良きアニメライフをノシ