ウマ娘の原作について
年始に出そうと思ってて忘れてたアニメ3期に関する記事です。
ウマ娘の話をする前に、まず申し上げておきたい事があります。
「原作が分からないと楽しめないアニメは駄作」
これは私の価値観とかの話では無く、アニメにおいての不文律的なモノです。
例えば原作が分からないとストーリーや設定が理解出来ないアニメがあったとしたら、それを楽しめる方はどれだけいらっしゃるでしょうか?
アニメの評価は作画や音楽、キャラデザなども含まれますが、流石にストーリーや設定が理解出来ないアニメが高評価される事はなかなかありません。
「現代のアニメには分かりやすさが求められている」と、かの岡田斗司夫氏もおっしゃられておりましたが、難解なアニメは基本的に流行りません(一部例外有)
ここまでは宜しいでしょうか?
「原作が分からないと楽しめないアニメは駄作」という事をウマ娘に当てはめてみるとどうでしょうか。
ウマ娘の原作は他作品には無い「史実」なので、そういった意味では常識が通用しなさそうですが・・・
私なりに考えてみた結果、ウマ娘もそれに当てはまりそうなんですよね^^;
◆ウマ娘のアニメも原作知らない方が楽しめる説
私は史実を知っている側なので、知ってるからこその楽しみ方をしているつもりでした。
「あのレースをどう表現するのだろう?」とか「あのレースは省略されちゃうのかな?」などを予想するという楽しみ方をしてましたし、史実を知っているからこそ気付ける小ネタなどもあります。
しかしもし自分が競馬を全く知らない人間だったらより楽しめたのでは無いか?という事に今更気づかされました。
だって観る前から大体どんな展開で誰が勝つか分かってるので、先にネタバレを喰らってる様なモンです。
史実を知らないと気づけない小ネタはありますが、それ以上にネタバレを喰らっている事の方が問題です。
史実をご存じ無い方は「誰が勝つのだろう?」と毎回ワクワクドキドキ出来る訳でしょ?
ズルくないですかw?
◆原作と違うアニメについて
ちょっくら話を横道に逸れさせて頂きます。
原作と異なるストーリーや設定にして失敗したアニメは多々あるのですが、今回はその中でもレアケースだったアニメを1件ご紹介させて頂きます。
私が大好きなチェンソーマンです。
このアニメの評価を人に聞くと「超面白いアニメでしょ?」とおっしゃる方と、その逆の評価をする方と二分化されます。
内容的にグロいシーンやセンシティブなシーンが含まれるので、その点において低評価を下す方もいらっしゃるのですが、本作の評価が分かれているのには別の理由があります。
高評価している方々は普通に「素晴らしいアニメだった」という評価なのですが、低評価としている方の多くは「原作と解釈が違う」というご意見と、アンチが引き起こした炎上事件の事を知って「原作を軽視して炎上したアニメだから駄作なのだろう」と思い込んでしまった方となります。
本作は原作である漫画とアニメの解釈というか作風が異なり、原作の一部のシーンがカットされてたりするという事で、原作勢のアンチが「新たな監督でアニメを作り直すべきだ」と署名活動をしたという経緯があります(2600名分の署名が集まったそうです)
それだけ聞くと「原作を軽視した駄作なのかな?」と思ってしまいそうですが、そんな事はありません。
確かに円盤の売上は思った程では無かったのですが、それはアンチの署名活動がマイナスに働いた影響が強いと見てます。
その証拠に動画サイトでのPV数はかなり高く、特に海外では当時放送されていたアニメの中では断トツのPV数を誇っておりました。
※海外専門の動画サイトの話です。
劇場版の制作も発表されましたし、本作を不人気作とか失敗作と言うのは明らかに間違ってます。
私がこの作品のアンチに対して好意的で無いのは、アンチの言い分がおかしいからです。
本作を制作したのは天下のMAPPAです。
そして原作と作風が異なるというのは監督の一存では無く、原作者と話し合った末に「漫画的な描写ではなく、リアリティを追求する方向で行こう」という事になったそうです。
原作者の藤本タツキ先生はMAPPAが制作してくれる事を大変喜んでおりましたし、アニメ放送後には、
ちぇんそーまんのアニメを作ってくださりありがとうございました!
僕の汚い線を拾ってくれて嬉しかったです!
漫画は引き続き続きます!
よろしくお願いいたします!
とツイートされてます。
原作者がアニメの出来に苦言を呈した訳でも無ければ、事前に話し合って決めて内容に満足しているという状況で、何故監督だけを責めるのかが謎過ぎて理解出来ません。
「藤本先生は本当は満足していないはずだ」とか言い出す方がいるかもですが、何故「有難う御座いました!」と言ってる方に対して「絶対に満足してないだろ?」と言えるのでしょうか?
別に原作が悪いとか、アニメの方が上だという話では無く「アニメには原作には無い良さがある」と受け入れられれば良かったという話ですし、受け入れられなくても「監督変えて作り直せ」はおかしいでしょ?と思います。
この話の重要な部分は「原作を知らなければ解釈違いによる不満は発生しなかった」という点です。
前置きがくっそ長くなりましたが、ウマ娘に話を戻しましょう。
◆文句言ってるの史実を知ってる人ばかりじゃね?
勿論、アニメ3期に不満を漏らしてるのは史実をご存じの方だけではありません。
キャラの掘り下げが足りないとか、推しキャラの扱いが雑だったとか、好きなキャラが一瞬しか登場しなかったとか、キタちゃんがDQN過ぎてひいたとか色々あります。
しかし最も不満点として多かったのがいわゆる「ピークアウトの設定」についてで、この部分が「史実と(解釈が)違う」という事でダメ出しをされております。
史実に詳しく無い方々は「そっかーキタちゃん衰えてたんだなぁ」と素直に受け入れられてた印象です。
アニメを評する時の常識に当てはめれば「酷評している方の大半は原作勢で、原作を知らない方からはそれなりの評価を得ている」という事になってしまいます。
◆ウマ娘は特殊なケース
いや、分かるんですよ。
私だってピークアウトの解釈には無理があると感じてます。
私の中では「キタちゃんがピークアウトしたという設定には無理を感じるが、物語の構成上仕方が無いかなぁ」くらいの感覚で、その部分においては批判している方の感情に近しきモノがあるかもしれません。
そもそも漫画や小説と違って、関係者の証言においても皆さん違う事をおっしゃったり、部外者からは分からない事が多いので、憶測で語ったり誤情報が本当の様に扱われたりする事もあります。
なので「原作」に当たる「史実」も観測者によって異なる見解となるのは仕方の無い事です。
こういった点が他のアニメとは異なる点で、常識の枠には当てはまらない部分なのだと思ってます。
ウマ娘は「史実の再現度が高い」というのも良さの一つではあるのですが、一部史実を改変している部分もあります。
「スズカの復活は運命がなんちゃらだからー」
「スペの有馬記念はifの話だからー」
とおっしゃる方もいるのですが、どこからどこまで史実改変が許されるかは個人の価値観によって異なりますので、絶対的な正しさというモノを示せる方はいらっしゃらないはずです。
私は基本的に「面白ければ何でも良い」という考えの持ち主ですが、ウマ娘の史実改変に関しては非常にデリケートな問題として捉えております。
キタちゃんのピークアウトにせよ、他の改変にせよ、多くの方が感じた事と似た感情は持ち合わせているつもりです。
私個人の好みで言わせて頂ければ「ウマ娘に限っては史実を蔑ろにして欲しくは無い」という気持ちがあるのですが、史実に興味無い方からすればそんなの知ったこっちゃ無いです。
ウマ娘界隈の中では史実に詳しい方の方がマウントを取りやすいと思うのですが、それ以外の界隈では、
「原作を知らないと楽しめないアニメなんてクソ」
というのが常識です。
ウマ娘が別の似た様な作品と比較出来れば良いのですが、前例の無い作品なのでそれが出来ません。
繰り返しになりますが、私は史実を大切に扱って欲しい派なのですが、アニメ界の常識からいえば「原作の再現度とか知識なんてどうでもいい。重要なのはアニメとして面白いかどうか」という事をご理解頂けましたら幸いです。
「史実関係無く3期面白く無いじゃん」というご意見もあるかと思いますが、論点が異なりますので今回はご容赦下さい。
3期の評価もしておりますので、宜しかったらご覧になって下さい。
原作改変はキャラデザや設定、ストーリーなど色々ありますが、改変されても面白いモノは評価されますし、原作通りでもつまらなければ駄作と言われるだけです。
3期がどうこう以前に、その認識が無い方がアニメについて語るのは危険だと思います。
ウマ娘が好きでも、競馬には興味が無い方という方もいらっしゃいます事もご理解頂ければと思います。
それでは、良きウマ娘ライフをノシ