アニメ批評その993　おとなりに銀河

2023/07/14 16:50

評価：★★(良い作品だけど続きが観たいと感じない)

概要
雨隠ギドによる日本の漫画作品。『good!アフタヌーン』（講談社）にて、2020年5号から2023年6号まで連載。
「完結までのご愛読に感謝」という理由により、2023年7号に番外編が掲載された。
少女漫画家と正体が異種族の姫であるアシスタントが「婚姻関係の契り」を結んだところから展開が描かれるSFラブコメディ。
2023年4月から、本作を原作とするテレビドラマおよびテレビアニメが放送された。

あらすじ
少女漫画家・久我一郎（ペンネームは「ここねモモティ」）は、父親が亡くなったことをきっかけに、妹や弟を養うために日々懸命に働いていた。
彼はある日、アシスタントの五色しおりと出会い、彼女から「私は、流れ星の民の姫。あなたと婚姻関係の契りが結ばれた」と宣言された。

おとなりに銀河 - Wikipediaより抜粋

とある島で姫プをしていたお嬢さんと、漫画家をしている主人公が織り成すSFラブコメディです。
SF要素はそんなに濃くはありませんし、コメディー要素も薄目で、純粋なラブコメとして観るのが正しいと思います。

◆本作の魅力について

ヒロインである五色しおりさん(cv.和久井優)は本好きの祖母に見せて貰った漫画にドハマリし、漫画家のアシスタントを志す19歳のお嬢様です。

元々は親の選んだ相手と結婚するはずでしたが、自由な恋愛に憧れてたというのも島を出た一因でもあります。

そんなお嬢様がアシスタント先の先生と恋に落ちるという物語です。

主人公は真面目かつ誠実な男で、グイグイくるしおりさんに惹かれてお付き合いする事になります。

童貞丸出しの男とお嬢様の恋なので、観ているコチラの方が恥ずかしくなる様な甘酸っぱい気持ちになれるのが本作の魅力です。

また本作は家族愛についての描き方も上手く、妹ちゃんと弟くんがとても可愛いです。

すぐに家族ぐるみのお付き合いとなるのですが、とても微笑ましい気持ちで視聴する事が出来ました。
とても良い作品だとは感じたのですが・・・
不思議と続きを視聴する意欲が湧かないのです。
その謎について考察してみました。

◆本作のアカン処

厳密には「アカン処」では無く「アカンと思われる処」です。
多くのレビュアーがこの作品を褒めておりましたが、その方達が「今期好きだったアニメTOP10」とかを発表した際に本作がそれにランクインする事はありませんし、動画サイトの再生数も全然多く無いというかむしろ少ない方です。
ハッキリ言って不人気アニメなのですが、本作を悪く言う方は殆どおりません。
この不思議な現象について考察した結果、以下の2点の結論に達しました。

◆感動が足りない

本作は心温まるシーンが多々ありまして、視聴後には一定の満足感が得られます。
しかし不思議と続きを視聴する意欲が湧かず、私はレビューを書く為に頑張って視聴したという感じでした。
この感情は「感動的な作品で感動出来ない自分への嫌悪」が影響していると私は考えます。
「感動的なシーンで心が揺り動かされないのはサイコパス、ダメなヤツ」という考えがどこかにあり、大して面白くも無い作品でも「何となく感動した」と自分に言い聞かせる事があると思います。
本作が決して面白く無いという話では無いのですが、同時期に放送していたスキップとローファーと比較すると歴然で、アチラは本作に比べて心温まるシーンの割合が多く、コメディー部分においても勝ってます。
本作が勝っている部分はラブコメ要素であり、本作の根幹ともなる部分なのですが、その点が視聴者に刺さらなかったのが敗因と分析しております。

◆ラブコメは10代をターゲットにすべき

私はオッサンなので、大人の恋を描いたアニメは全然普通に好きなのですが、人気が出るラブコメのアニメはほぼ10代の若者向けです。
私的に微妙と感じた作品でも10代に受けた作品は大体ヒットしておりますが、本作は若者向けとは言い難い作品です。
漫画では高い評価を受けそうな作風なのですが、少なくともアニメ向きでは無かったかな？と私は思います。

◆アニメの出来は良い

しおりさんが非常に魅力的に描かれており、作画コストを軽減する様なシーンでもあっても気にはならず、むしろ可愛いと感じたくらいです。
家族愛について深く描いているアニメも意外と少ない中で、本作はそういった要素で他作品と差別化が出来ておりますし、SF要素まであるのでありふれたアニメとは異なる存在です。
ですが、その時のシーズンにアニメを20本以上とか観ておりますとどうしても優先順位みたいなのが出来てしまい「これは後で纏めて観よう」というアニメがどうしても出てきます。
本作はその「後で纏めて観よう」の枠に入りがちな感じで、観れば面白いんだけどそこまでの視聴意欲がなかなか湧かないという、名作とも駄作とも普通とも言い難い難しいポジショニングをしております。
和久井優さんのファンや家族愛について描いた作品、または大人の恋が観たい方にはオススメ出来るのですが、そこまで強くオススメ出来ない難しさがあります。
ディスり多めの記事となってしまいましたが、悪くは無い作品なので・・・
しかし、コアなアニオタでも無ければもっと優先して観るべきアニメがたくさんあると思うので、オススメ度としては★２とさせて頂きます。
それでは、良きアニメライフをﾉｼ

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