アニメ批評その1005 豚のレバーは加熱しろ
評価:★★(制作会社がパンクした)
概要
逆井卓馬による日本のライトノベル。
略称は「豚レバ」。イラストは遠坂あさぎ。
第26回電撃小説大賞《金賞》受賞。
2020年3月から電撃文庫(KADOKAWA)より刊行されている。
2022年12月時点で累計発行部数は25万部以上を記録している。
メディアミックスとして、みなみによるコミカライズが『電撃マオウ』にて2022年10月号より連載されている。
また、2023年10月から2024年2月までテレビアニメが放送された。
あらすじ
日本人の主人公は、豚のレバーを食べて意識を失ってしまう。
目が覚めると豚小屋にいて、なぜか豚の姿に転生していた。
そこに現れた女の子・ジェスは、キルトリン家に仕える「イェスマ」と呼ばれる特殊な種族であり、他人の心の声が分かる異能力を持っていた。
イェスマは16歳になると仕えている家を出て、王都へ身を捧げに旅に出なければならないという決まりがあった。
しかし、イェスマの遺骸は金になるため、旅の道中にイェスマを殺害しようとする「イェスマ狩り」が横行していた。
ジェスに情が移ってしまった主人公(豚)は、彼女を守るため「シャビロン」と呼ばれる護衛となり、2人で冒険へと旅立つ。
やがて、2人は「イェスマに隠された謎」を解き明かしていくことになる。
異世界転生モノですが、転生先では人間だった主人公が豚になっているという処からスタートします。
人の心の声が聞こえるというジェス(cv.楠木ともり)に保護される事になるのですが、豚となった主人公の心の声も駄々洩れで、そのやり取りを楽しむアニメとなっております。
本作の良い処は3つあります。
まずは主人公の豚を松岡禎丞さんが演じておりまして、これが凄く面白いです。
流石は松岡くんといった処です。
そして楠木ともりさん演じるヒロインのジェスタソがとても可愛い点です。
もう一点はこの世界の謎です。
ジェスはイェスマという種族なのですが、16歳になったら王都へ身を捧げに旅に出なければならないという決まりがあり、何故その様な決まりがあるのか?や身を捧げるとはどういった事をさせられるのか?
そもそもイェスマとは何者なのか?といった謎があり、その謎解きについても先が気になる物語となっております。
他作品には無い良さがあり、声優さんの演技も含めて良いアニメだなーと思ってたのですが、まさかあんな事になってしまうとは…
◆制作会社が・・・
最初の方は私もかなり面白いアニメとして楽しませて頂いたのですが、徐々に雲行きが怪しくなってきまして、途中からは「どうしたんだ?」と不安になるくらい作画がヤバい事になってしまいました。
本作を制作したproject No.9ですが、元々は1クールに1〜2本のペースでアニメ制作をしている会社でした。
本作が放送されていた時期には「お嬢と番犬くん」と「ひきこまり吸血姫の悶々」も放送されており、どうやら制作時期も被っていた様です。
「ひきこまり吸血姫の悶々」も最後の方は割とギリギリな感じの作画でしたが、キャパを超えた仕事量のしわ寄せの多くが本作に降りかかってしまった感は否めません。
作画が徐々にヤバくなってゆき「これは万策尽きたな?」と思わせる様な回があり、最終話に至っては1か月放送延期をした上に、紙芝居の様なシーンが長時間映される事となりました。
最終話の雰囲気で何とか誤魔化した感がありますが、目の肥えた視聴者を騙す事は出来ません。
アニメ化されたのは原作のラノベ1巻分であり、物語自体はかなり丁寧に作られておりました。
原作は現時点で8巻まで出てますので、2期があってもおかしくは無いはずですが…
アニメの出来がこれではちょっと厳しいかもしれません。
アニメ『豚のレバーは加熱しろ』ノンクレジットオープニング|ASCA「私が笑う理由は」
OPも好きですし、続きも気になるのですが^^;
project No.9は良いアニメを制作する傍らで、予算や製作時間が足りて無さそうな出来のアニメを作る事が多々あります。
良いアニメを作れる技術はある訳ですから、あとは営業の方がちゃんとした仕事を取ってきて、まともな制作進行が出来る方が舵を取ってくれれば、と素人ながらに思います。
もう手遅れな制作会社もある中で、まだ全然イケそうな感じというか、実績を作ろうとして焦り過ぎなのでは?と思うペースで制作している印象です。
話を戻しますが、ちゃんと作れば話題作になった可能性もあるポテンシャルはあったと思いますが、制作現場が限界だったため中途半端な出来となってしまった感がある勿体ないアニメです。
評価は無難に★2とさせて頂きますが、人によっては★1〜4まで評価が大きく異なりそうな気がします。
OPの映像を観てビビっときた方や、私と感性が似ている方にはオススメ出来ますが、そうで無い方は観ない方が良いかもしれません。
それでは、良きアニメライフをノシ