アニメ批評その912 陰の実力者になりたくて!
評価:★★★(アイ・アム・アトミック♡)
概要
逢沢大介による日本の小説。
Web版は小説家になろうにて2018年1月から掲載中。
単行本はエンターブレイン(KADOKAWA)よりB6判のサイズで2018年11月から刊行され、イラストは東西が担当。
2022年9月時点でシリーズ累計発行部数は200万部を突破している。
『このライトノベルがすごい!』単行本・ノベルズ部門では2020年版で3位を獲得している。
メディアミックスとして、坂野杏梨による漫画版が『月刊コンプエース』(KADOKAWA)にて2019年2月号から連載中で、スピンオフ漫画『陰の実力者になりたくて! しゃどーがいでん』が同誌にて2019年9月号から連載中。
また、2022年10月から2023年2月までテレビアニメが放送された。
あらすじ
物心ついた頃からヒーローでもヴィランでもなく、文字通りヒーローを陰で助ける様な陰の実力者に憧れていた影野実は、学校では目立たない様に過ごしながら裏では最強の陰の実力者となる為の修行を積んでいた。
やがて核兵器にも勝てる未知の力を求めて過酷な修行に臨む様になるが、高校最後の夏、修行帰りに幻覚を見た事でトラックに轢かれてしまい死亡。
魔力のある異世界に男爵家の息子シド・カゲノーとして転生する。
転生してからの10年間シドは転生前と変わらず実力を隠しながら裏で修行を続けていたが、ある時修行と資金集めの一環で盗賊団を討伐した際、悪魔憑きが発現した肉塊を見つけ魔力実験を施した所、何と悪魔憑きが治り肉塊がエルフの美少女に変化。
シドは「恩を返したい」と言い出したエルフを納得させるためアルファと名づけ自身の配下とし「御伽話に登場する魔人ディアボロスの復活を狙うディアボロス教団を潰す!」とでっちあげの設定を語って陰の組織シャドウガーデンを設立する。
舞台が現代の日本から始まったので「知略を駆使してのし上がってくアニメかな?」と思ったのですが、全然違いました。
まさかチート級の能力を持った異世界転生モノだとはw
本作がよくある作品と異なる点は「物語の主人公になって活躍したい」とか「異世界でのんびり生活したい」といった目的では無く「陰の実力者になりたい」なのです。
意味がわからんかもしれませんが、主人公は極度の中二病であり、表舞台では無く裏舞台で活躍し、陰から暗躍する実力者になりたいというめんどくさい価値観を持ってます。
なので、武術大会の様な催しに参加する際はわざと派手に負けますし、
変装して謎の剣士を装う事もあります。
元は異世界で出会ったエルフを助けた事から始まり、適当に考えた中二設定を語ったらそのエルフ(アルファ)が本気にしてしまった処から主人公を取り巻く状況が大きく変わります。
主人公は「自分の中二ごっこに付き合ってくれる優しいエルフと、そのお友達たち」くらいにしか思ってないのですが、単なる妄想で語った筈の「世界を混沌に陥れる魔人ディアボロス」が本当に存在しており、アルファが次々と仲間を増やしていった結果、
最強の武装組織集団であり、強大な経済力を持つ「シャドウガーデン」が設立されてしまいます。
設立後も主人公は「ごっこ遊び」のつもりでいるのが笑えます。
主人公の前には次々と強者が立ちはだかりますが、苦戦する事は全くありません。
主人公を含むシャドウガーデンの強さは圧倒的であり、感覚的にはオーバーロードがお好きな方ならお楽しみ頂ける気がします。
◆女性キャラについて
美しい女性キャラが多数登場するのも本作の魅力の一つです。
なのですが、大体の女性が逞しいです・・・とても^^;
主人公はモテモテなのですが他の作品とは全然違った絡み方で、少し主人公が可哀そうに思える時があります^^;
◆作画について
作画レベルは高い方で、特にバトルシーンは良く描けてると思います(偉そうですみません)
特に終盤のバトルシーンの出来は素晴らしく、凄まじい戦闘のはずなのに余裕をかます主人公が面白くもあります。
◆究極の中二病
異世界転生する前の現代社会において「最強の攻撃方法は核兵器だから、それに勝つにはどうしたら良いか?」について本気で考えるほど頭がおかしい主人公ですが、転生した先でその問題を解決します。
また「如何にして陰の実力者っぽく振舞うか?」について常に本気で考えており、経済効率や手間などは一切惜しまず、陰の実力者っぽく振舞う事に全力を賭けてます。
この徹底っぷりは慎重勇者に通ずるモノがあると思います。
◆タイミングについて
本作の放送中にソシャゲもリリースされまして、人気の方は普通よりかはチョイマシな程度です。
決して不人気では無いし、アニメ放送中にリリースするのは正しい選択だとは思うのですが、私からするとアニメ2期(あればですが)に合わせて欲しかったです。
これだけの出来の良いアニメを全20話で放送している訳ですから、アニメの制作費はかなり高額なはずです。
正直アプリのプレイヤー人口や売上額を見る限り、アニメの制作費に見合って無い気がします。
女性キャラが可愛く描かれており、バトルシーンの出来も良く、笑えるシーンも多々ある素晴らしいアニメではあるのですが、大豊作だった2022年の冬アニメの中で埋もれてしまった感があり、知名度がそこまで高く無いのが残念でなりません。
コアなアニメファンやレビュアーからは非常に高い評価を受けておりますので、本作が良作である事は間違い無さそうですが、アニメ化のタイミングが少し早過ぎたのかもしれません。
原作もかなり面白そうですし、欠点と言える部分といえば女性キャラ達が逞し過ぎるのが人を選ぶ可能性があるかな?と思う位で、本当に素晴らしい作品だと思います。
アニメ化のタイミングもですが、放送時期が少しズレてたら大豊作の中に埋もれずもっと話題になっていたかもしれません。
「しれません」ばかり言ってる気がしますが、★3か4かで悩むくらい面白かったので、私と感性の合う方は是非ともご視聴して頂きたく存じます。
それでは、良きアニメライフをノシ